パナコネクトが国内企業のSCM改革支援強化、30年までに50社へソリューション提供目指す

パナコネクトが国内企業のSCM改革支援強化、30年までに50社へソリューション提供目指す

米ブルーヨンダーの技術など活用、日本独自の商習慣や法規制に合ったサポート展開

パナソニックコネクトは6月20日、東京都中央区銀座の本社内で、国内企業のサプライチェーンマネジメント(SCM)改革の支援強化に向けた新たなソリューションの事業説明会を開催した。

「現場から始める全体最適化」をコンセプトに掲げ、同社が国内外で蓄積してきた顧客企業の物流業務改善の経験と、2021年にパナソニックホールディングス(HD)が買収しパナソニックコネクト傘下に収めた米業務改善支援ソフトウェア大手ブルーヨンダーの技術や知見を組み合わせ、日本独自の商習慣や法規制に合ったソリューションを開発、展開することを打ち出した。

 
 

具体的な目標として、自動車や精密機器、食品、日用品、EC、3PL大手などを中心に、2030年までに50社へSCM変革支援のソリューションを提供していくことを目指す。

その一環として、NX・NPロジスティクスにブルーヨンダーのWMS(倉庫管理システム)を提供することも明らかにした。

事業説明会に登壇したパナソニックコネクトの奥村康彦執行役員シニア・ヴァイス・プレジデント兼現場ソリューションカンパニー プレジデントは「現場から業務を変え、企業間へ、そして業界全体へ波及させていく」と狙いを語った。


ソリューションの概要


事業説明会に登壇した奥村氏

ソリューションは「業務フローの標準化」「物流全体を横断するデータ基盤」「日本に合わせた導入ノウハウと実行体制」の3点に注力すると説明。このうち業務フローの標準化はブルーヨンダーや、2017年に同じく買収したベルギーで物流関連サービスを手掛けるZetes(ゼテス)が積み重ねてきた成功経験を反映させ、庫内作業の順序をシステムが自動で決めるなど業務の流れを標準化することを想定。

 
 

物流全体を横断するデータ基盤は、倉庫・在庫管理などの多岐にわたるシステムを連携させ、倉庫や輸配送に関するデータを収集、作業実績の分析・可視化や荷物車両の追跡などができるようにして顧客のSCM改善を後押しする。

日本に合わせた導入ノウハウと実行体制は、荷造りの個口情報生成や送り状ナンバーの管理といった、独自の商慣習や法規制が存在することに対応。国内で約700人を配置しているSCM専門チームがグローバルの事業展開で得た知見も駆使し、顧客のソリューション導入前から導入後まで一貫して支援する。

改善事例として、低温物流を手掛けている福岡運輸は23年にパナソニックコネクトの配送進捗管理システムを、24年5月には倉庫実行管理システムをそれぞれ採用。配車状況の可視化と倉庫実行管理システムの統合によって、荷主からの問い合わせ対応を月間1150件削減、ドライバー間や配送管理者の対応を2760件削減するなど、問い合わせ対応工数を大幅に減らせたという。

また、NX・NPロジスティクスの舞浜倉庫(千葉県)でブルーヨンダーのWMS導入作業を進めており、今秋に稼働を始めることを計画していると説明。同倉庫はパナソニックコネクトの製品を保管・管理しており、従来は現場のベテラン作業者の判断に依存していた「どの棚に入庫するか」「どのフォークリフトを誰が使うか」といった工程を、WMSがリアルタイムに自動指示し、保管棚の割り当てや作業者の移動指示をシステムが最適化することで、入庫作業の生産性は約1.4倍に向上すると見込んでいる。

事業説明会で山名義範現場ソリューションカンパニー シニア・ヴァイス・プレジデント兼現場サプライチェーン本部マネージングダイレクターは日本企業の物流現場に関し「人の経験に依存した属人的なオペレーション」にとどまっていると指摘。「属人性を排し、誰でも即戦力になれる現場の構築が、SCM全体最適化への第一歩と考えている」と強調した。

小笠原隆志現場ソリューションカンパニー現場サプライチェーン本部 SCM事業センターダイレクターはNX・NPロジスティクスの取り組みについて「段階的な連携強化によって、SCMの最適化と現場の実効性を両立させるモデルケースにしたい」と語った。

 
 


事業説明会に登壇した山名氏(上)と小笠原氏

(安藤照乃、藤原秀行)※図はいずれもパナソニックコネクト提供

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