国交省、軽バンなどの運送事業対象
国土交通省は、全国の郵便局でドライバーが業務前後に法定の点呼を適切に実施していなかった問題を受け、日本郵便に対し、軽バンなど約3万2000台を使って展開している運送事業に関して、近く貨物自動車運送事業法に基づく安全確保命令を出す方向で最終調整に入った。
国交省は既に、同事業について、監査の結果に基づき、郵便局ごとに一定期間の車両使用停止などの処分を科すことを検討している。関係筋によれば、監査の完了にはまだ時間を要する見通しのため、不適切な点呼が全国で常態化していたのを踏まえ、まず優先して安全対策を講じさせることが急務と判断したもようだ。
安全確保命令は悪質な法令違反や重大事故があった事業者に対し、国交省が一定期間内に運行計画の改善や安全管理規程の順守などの措置を講じるよう命じ、守らなかった場合は事業停止などのさらに厳しい行政処分を科せる。
不適切点呼の問題では、日本郵便の社内調査で全国3188局の75%に相当する2391局で適切に点呼が行われていなかったことが判明している。
国交省は6月25日、日本郵便がトラックやバン約2500台で行っている運送事業の許可を正式に取り消す見通しだ。処分の決定後、同社は今後5年間、集配拠点間の輸送などの事業許可を再取得することができなくなるため、約2500台で手掛ける業務の6割弱を子会社の日本郵便輸送や同業のヤマト運輸、佐川急便、西濃運輸などに委託し、残る約4割は軽バンなどでカバーすることを検討している。
国交省は軽バンなどで行っている運送事業でも不適切な点呼が広く行われていたことを確認しているため、厳しく対応する方針だ。ただ、軽バンなどによる運送事業は、トラックやバンによる運送事業と異なり届け出制のため許可取り消しの対象外で、運送の業務自体は継続する。
さらに、国交省は事業許可取り消しなどと並行して、貨物自動車運送事業法に則り、不適切な点呼を行っていた郵便局の運行管理者の一部に対して、資格証明を返納するよう命じることも準備している。
(藤原秀行)