盛岡・仙台~神戸間、流動食のモーダルシフト促進
森永乳業、日本通運、JR貨物、日本石油輸送の4社は7月1日、流動食のモーダルシフトを加速させるための自主的な組織「流動食モーダルシフト推進協議会」を立ち上げ、真空断熱パネルを採用して冷蔵コンテナよりも高い断熱性能を備えている「31ftスーパーURコンテナ」を活用した鉄道によるラウンド輸送を同日、開始したと発表した。東北~関西間で実施する。
4社によると、往路・復路ともに同じ荷主(森永乳業)による31ftスーパーURコンテナを使ったラウンド輸送は国内で初めてという。
流動食は盛岡工場製造の栄養補助飲料「エンジョイクリミール」シリーズや神戸工場製造の流動食CZ‐Hi、エコフローアクアなど。スーパーURコンテナは日本石油輸送が所有している。
「物流2024年問題」を考慮し、4社が連携してラウンド輸送を実施することで、貨物を目的地で下ろした後、空で回送せずに貨物を積み、出発地まで戻って往路と復路の車両積載率を高め、ドレージングコストの低減につなげるのが狙い。
森永乳業の物流では特に東北地区発着の広域輸送ルートでトラックドライバー不足が顕著になっており、「運べないリスク」が高まっていたという。
一方、現行の鉄道コンテナを活用したラウンド輸送は往復荷の確保が難しく、往路と復路で異なる荷主を探すことに労力を費やしていた。
そこで、4社でコンソーシアムを結成し、森永乳業専用の31ftスーパーUR コンテナを導入。神戸と盛岡・仙台の間のうち、百済・大阪貨物ターミナル駅(大阪市)から仙台貨物ターミナル駅(仙台市)の固定ルートで往復利用することで、これまでの課題を解決することができた。
環境面でもCO2排出量を約72%削減、年間排出量は約184tの抑制を見込む。
今回の取り組みは、流通業務の効率化を図る事業として国土交通省の「物流総合効率化法」に基づく総合効率化計画に認定済み。「モーダルシフト加速化緊急対策事業」に採択されている。
コンソーシアムは森永乳業の盛岡工場と神戸工場で生産している流動食の運送を日本通運に委託。日本石油輸送が提供する31ftスーパーURコンテナを使用し、JR貨物の鉄道輸送を利用した往復輸送を実施する。
31ftスーパーURコンテナ(いずれも4社提供)
(藤原秀行)