シンガポールの投資家、玉井商船株式を9.51%まで買い増し

シンガポールの投資家、玉井商船株式を9.51%まで買い増し

会社側は対抗措置発動へ準備

玉井商船は7月14日、シンガポールの投資家、Sun You Ning(ソン・ユウ・ニン)氏の株式保有比率が6月23日時点で9.51%(議決権ベースで9.57%)まで上昇したと発表した。

同氏は今年5月、関東財務局に提出した大量保有報告書で、同社株の5.11%(同5.14%)を取得したと開示。その後も株式を断続的に買い増していた。6月30日に同氏が提出した大量保有報告書によれば、同氏は株式保有目的を「純投資」と説明している。



玉井商船は7月14日、同氏の株式買い付けの動きを踏まえ、対応方針を定めたと公表した。具体的には、大規模な買い付けについて、同社株式を20%以上取得しようとする動きと定義。

大規模な買い付けを実施しようとする相手に対し、趣旨説明書を同社取締役会宛てに書面で提出してもらい、その内容を株主に公表。併せて、株主が大規模な買い付けを受け入れるか否かを判断する上で必要な情報の提供も求める。

取締役会が趣旨説明書を受け取ってから60営業日以内に大規模な買い付けの是非を評価。対抗措置を講じるべきと判断した場合は、株主の意思を確認する総会を開き、出席している株主の議決権の過半数の賛成を得ることを条件にして、既存株主に新株予約権を無償で割り当て、同氏の株式保有比率を強制的に引き下げる。

併せて、社外取締役と社外監査役の計3人で構成する独立委員会を設置。対抗措置発動の適否を諮ることで判断の公平性・透明性を担保する。

今回打ち出した措置は2026年6月に開催予定の定時株主総会までを期限と設定しているが、大規模な買い付けをしようとする者がいれば期限を延長できると定めている。

玉井商船によると、同氏と7月1日に面談し、同社株式取得の理由やどの程度まで買い増すかの見通しなどを尋ねたが、同氏からは「Sun 氏の一般的な投資手法として、低価格の株価で取引されている会社のフェアバリューを見て投資をしている旨を回答するにとどまり、(玉井商船を投資先に選んだ)固有の理由についての回答はなかった」という。また、どの程度まで買い増す予定かについても、現時点では特段決定していないとの説明があったという。



(藤原秀行)

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