偏在解消し、販売機会の最大化と売り上げ向上図る
NTTロジスコは9月8日、靴の流通・販売業界特有の在庫課題を解決するため、靴販売事業者に特化したサービス「スマートエスアール(店舗在庫再配分)」の提供を始めると発表した。
「スマートエスアール」は、データドリブンによる最適な店舗在庫の返却および店舗への在庫再配分の指示の作成、効率的な物流業務の遂行を支援してサプライチェーンを最適化するのが狙い。
靴の流通・販売業界は、多様なデザイン・サイズ・カラーが存在しているため、店舗ごとに在庫の過不足が発生しやすいという構造的課題を抱えている。一部の店舗では売れ筋の商品が欠品し「売り逃し」が発生する一方、他の店舗では同じ商品を「不良在庫」として保管、セールや廃棄の対象となっている。
倉庫に在庫がなくなった商品の補充は、本部の判断により店舗間で在庫を移動することが通例だが、全店舗の状況を俯瞰した最適な在庫移動の判断は難易度が高いことや、在庫移動指示の作成に手間と時間を要していることなどが問題だった。
一連の課題を解決するため、新たなサービス開発にこぎ着けた。
新たなソリューションは靴の売上傾向に即した売上予測に基づき「どの店舗にあるどの在庫商品を、どの店舗へ移動すべきか」という最適な再配分計画を自動で策定する。この再配分計画に基づき、対象商品を各店舗からNTTロジスコの物流センターへ一括返却した後、適切な商品仕分けを実施の上、再配分先店舗へ配送する。
店舗・商品・サイズ別に細分化されデータが少なく予測が困難という課題に対応するため、靴の流通・販売業界向けに特化した新たな売上予測ロジックを開発した。売上予測の補正機能として、季節商品などを考慮した「季節変動補正」や、欠品発生による得べかりし売上分を推測し補正を行う「欠品補正」などを施し、精度を高めた。
新商品や終売期の商品などのライフサイクル、および商品特性に応じた適切な在庫基準を設定し、過剰在庫がある店舗から不足している店舗への在庫再配分指示を自動でまとめる。店舗間距離を考慮し配送コストを抑制した在庫再配分指示を作成する機能や、物流センターでの商品仕分けの作業動線短縮を考慮した在庫再配分指示機能を実装している。
さらに、店舗からの出荷先を物流センター1カ所に集約することで、店舗の返品作業稼働を削減する。物流センターでのカテゴリー別仕分けによる納品で、店舗の陳列稼働も減らせると見込む。
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用