総額1300億円の見通し、直販網整備などの投資資金確保目指す
三菱重工業は9月30日、東京証券取引所スタンダード市場上場の子会社でフォークリフト大手の三菱ロジスネクストを、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に売却すると発表した。
JIPが運営しているファンドがTOB(株式公開買い付け)を実施し、三菱重工業からも株式を譲り受けるなどして、買収の完了を目指す。買収総額は約1300億円に上るとみられる。TOBは今年12月下旬の開始を想定している。
三菱ロジスネクストは9月30日、JIPのTOBに賛同するとともに、株主にはTOBに参加するかどうか判断を任せるとの見解を発表した。TOBが完了すれば、三菱ロジスネクストは上場廃止になる。
三菱ロジスネクストは2017年、ニチユ三菱フォークリフトとユニキャリアが経営統合して誕生。現在は三菱重工業が株式の約64%を保有している。
三菱重工業は三菱ロジスネクストの株式を売却して「親子上場」も解消する。いったん保有株式を手放した後、300億円を三菱ロジスネクストに再出資する予定。
三菱重工業は成長領域として、ガスタービンで発電するとともに排熱を使って蒸気タービンでも電気を生み出す「GTCC」(ガスタービン・コンバインドサイクル)、原子力、データセンターなどを設定しており、同領域に優先して投資していく方針。
フォークリフトは直販網の拡充などでより大きな投資が必要となっていることから、JIPの協力を得て投資資金を確保し、事業を再編することにした。三菱ロジスネクストと連携し、庫内作業の自動化などの技術開発は引き続き進める。
三菱重工業は三菱ロジスネクスト売却に伴い、事業再編関連損失として2026年3月期に300億円を計上する。
(藤原秀行)