タイガー魔法瓶、独自開発の真空断熱パネルで保冷時のCO2を45.9%削減

タイガー魔法瓶、独自開発の真空断熱パネルで保冷時のCO2を45.9%削減

大阪・関西万博でも活用の技術

タイガー魔法瓶は10月7日、独自に開発した「ステンレス密封真空断熱パネル TIVIP」を搭載したリーファーコンテナ(冷蔵コンテナ)の実証実験を行い、消費電力とCO2排出量を45.9%削減するのに成功したと発表した。

同技術は輸送ボックスとして大阪・関西万博の会場内外輸送でも使われている。普及させることで物流領域の脱炭素に貢献したい考え。


TIVIPを搭載した真空断熱リーファーコンテナ


TIVIP実装コンテナ(左)と従来リーファーコンテナ(右)

「ステンレス密封真空断熱パネル TIVIP」は、ステンレスの使用により、従来の非ステンレスの真空断熱材では得られなかった不燃性と高断熱性の長期間維持を達成。輸送用の保冷コンテナや建築資材に活用することで温度維持に必要な電気エネルギーの使用を抑えられるため、CO2削減に貢献できるとみている。

真夏日(平均気温32.3度)の神戸市でTIVIPを追加実装したコンテナと従来のリーファーコンテナの消費電力を7時間測定する実験を行った。庫内を5℃に維持する設定で保冷機を稼働させたところ、従来コンテナは7時間(420分)を通して常に保冷機が稼働し続けたのに対し、TIVIP実装コンテナは高い保冷力によって稼働時間を5時間(300分)に抑制。非稼働時間(OFF時間)を合計で120分確保できたという。


真空断熱パネル (TIVIP) 実装コンテナ 消費電力比較実験


背部に設置した保冷機で庫内を5℃に維持


コンテナ内部にTIVIPを実装

同技術は、大阪・関西万博の会場内外から、飲食店へ食材を輸送するための保冷ボックスにも採用。長時間温度を維持できるため、通常のトラックでも冷凍・冷蔵品輸送や、異なる温度帯の荷物を同時に運ぶ「混載輸送」を可能にしている。

混載輸送が可能になることでトラック台数の削減が実現し、CO2排出量の削減や人手不足問題の解決にもつながると見込む。


大阪・関西万博での運用の様子


TIVIPを搭載したプロテクトBOXサーマル


ステンレス密封真空断熱パネル TIVIP ※イメージ画像


従来品との比較

大阪・関西万博内ではステンレス密封真空断熱パネル「TIVIP」を岐阜プラスチック工業の軽量・高強度素材、樹脂製ハニカムパネル「テクセル」で挟み込み、TIVIPを保護し軽量かつ強固な断熱ユニットパネルを実現した。

この断熱ユニットパネルを日本通運の輸送梱包ツール「プロテクトBOXサーマル」などに取り入れることで、高性能な保冷輸送が可能になった従来の冷凍・冷蔵・定温輸送は温度維持のために蓄冷材や蓄熱材の使用が必須だったが、資材を不要とし、電力使用量の大幅な削減を実現できると想定している。


断熱ユニットパネル

(藤原秀行)※いずれもタイガー魔法瓶提供

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