国内外の豊富な経験活用、パイロットが教育担当
エアロネクスト子会社でドローン物流を手掛けるNEXT DELIVERYは11月18日、地域の物流課題をドローンで解決する「新スマート物流SkyHub」(スカイハブ)の普及を加速させるため、物流ドローン運航オペレーションに関する人材育成を担う「SkyHubトレーニングセンター」を山梨県小菅村に開設すると発表した。
NEXT DELIVERYは国内外で4000回を超えるドローン運航実績を持つほか、ドローン物流の社会実装を本格化するため航空法などの規制改革推進や和歌山市内のDID(人口密集)地区における「レベル3.5」飛行の実証実験など日本初の取り組みを行ってきた。
そうした知見を活かし、陸上から空へ物流インフラを拡張したい企業やドローン物流へ新規参入を検討している企業を対象に、2026年1月からトレーニングセンターを利用して実践的なドローン人材育成プログラムを提供する。先行して11月18日に受講者の募集を開始した。

プログラムはドローン物流に特化し、物流ドローンで定期配送できる知識技能の習得に加え、ルート構築から飛行申請、安全管理まで全てを担える体制構築も支援する。
具体的には、エアロネクストが独自に開発した、機体が傾いても荷物は水平を維持できる機体構造設計技術「4D GRAVITY」搭載機と運航管理システムを用いて、座学と物流専用機操縦を組み込んだ実践的な内容とする。
レベル3.5飛行申請やDID飛行申請など、他のドローンスクールでは習得できない内容も盛り込んでいる。講習はNEXT DELIVERYの取締役で運航責任者も務める青木孝人氏(国内初の一等無人航空機操縦士)が監修し、経験豊富なパイロットが教育を担当する。

トレーニングセンターで提供するプログラム
実際にモンゴルでは2024年8月から現地スタッフのみで、4D GRAVITY搭載の物流専用ドローンによる医療機関向けの定期配送を実施している。国内の医療機関向けに血液など温度や時間管理が厳格に求められる医療用物資の定期配送を2024年は50回以上、今年は5月から10月20日までに322回実施した。
この取り組みはトレーニングセンターの活動の先駆けとなり、NEXT DELIVERYの経験豊富な運航チームが現地などで徹底したトレーニングを行い、知識・技能のみならず安全観念までを一気通貫して教育し自走運用まで完結させたという。

モンゴルでのドローン定期配送の様子

モンゴルでの遠隔操縦の様子
日本国内では2024年から新スマート物流SkyHubのノウハウや配送管理システム、オペレーションの一部を物流事業者にライセンス提供する「SkyHub Provider License」の契約を開始。同年2月に契約第1号として締結した大分県の中津急行を手始めに、地域課題解決を目的とした社会実験に関する覚書を締結した栃木県の両毛丸善など複数の物流事業者と契約締結し、先行してトレーニングセンターで提供するプログラムの受講を始めている。
併せて、全国9カ所のドローン物流拠点では補助者教育講習を受講したアルバイトスタッフが実務に就き、各地でドローン物流を推進している。

トレーニングセンターでの講習(補助者)の様子

中津急行内での機体取点検の様子
将来はドローン物流の担い手を全国的に拡大出来るよう、パートナーネットワークを構築し、地域格差なくサービスが提供される体制を目指す。トレーニングセンターの全国展開に向けた仕組み作りを開始するため、モビリティナビ(三重県津市)と連携し、ドローン物流担い手の育成・支援を加速させる。
【SkyHubトレーニングセンター(SkyHub TC)概要】
1. 受講者の募集開始日
2025年11月18日
(2026年1月よりプログラム提供を開始予定)
2.対象者:
ドローンを活用して配送を効率化したい企業
3.プログラム名
・グランドパイロット(GP)認定講習
・リモートパイロット(RP)認定講習
(RP認定講習の受講には「二等無人航空機操縦士、目視内資格」が必要)
4.講習内容
グランドパイロット(GP)認定講習
リモートパイロット(RP)認定講習
・物流専用機の取扱
・上空電波利用
・危険物、医薬品配送
・離着陸地点の現地調査
・緊急時対応、事故対応
・安全管理体制
・物流専用機操縦訓練
・GCS使用方法
・飛行ルート構築概要
・レベル3.5飛行申請
・飛行ルート設計、構築
・エアリスク対策
・遠隔運航管理体制
・Emergency Procedure
・安全管理システム(SMS)
・遠隔運航実習
・DID飛行申請概要
・危険物輸送申請概要
5.講習場所
山梨県小菅村(受講企業内フィールドなど出張教育も可能)
(藤原秀行)※いずれもNEXT DELIVERY提供



