目的地までのルートなど車載モニターに表示
新明和工業とレシップの両社は12月22日、共同開発してきた塵芥車向け廃棄物収集業務効率化システム「G-SUPPORT」（ジー・サポート）を同日発売すると発表した。
G-SUPPORTは塵芥車に車載通信機器を搭載し、車両の位置情報、稼働状況、積載状態などのデータを取得、活用することで、廃棄物収集業務の効率化を実現する仕組み。
塵芥車の国内シェアトップで70年以上にわたって廃棄物収集業界のニーズに応え、塵芥車を進化させてきた新明和工業のノウハウと、バス運行管理システムで多くの実績を持つレシップの技術を組み合わせた。
両社は発売に先立ち、廃棄物の収集運搬事業を展開している数社の協力を得て、実稼働中の塵芥車を使た実証実験を行い、安全性を含めたシステムの検証を行うとともに、塵芥車からの積載量や架装装置の稼働状況の取得、データ管理機能などを付加したサービスの開発を進めてきた。
協力企業から業務効率向上・負荷軽減に期待できるとの評価を得られたため、商品化に踏み切った。
新明和工業の販売網を活用し、全国の自治体および民間廃棄物収集事業者への普及を促進。両社は2030年までに累計5000台の導入を目指す。今後は電子マニフェストシステム（廃棄物処理法に基づく業界の取り組み）と自動連携できる日報作成機能の追加や、現場のニーズに即した操作性の向上など、継続的な機能改善を行う予定。
近年、廃棄物収集業界では人手不足や高齢化が深刻な課題となっている上、「ベテランのノウハウ」「電話連絡」「紙ベースの地図」や「手書きで記録する日報」に依存する現場が多く、自治体や事業者からは人手不足解消、ノウハウ継承のため、経験や勤務年数に左右されることなく効率的に廃棄物が収集できる環境整備や業務負担軽減を望む声が高まっていた。
こうした課題に対し、新明和工業とレシップは、各々が強みとする塵芥車とバスについて、「決まった時間に一定のルートを走行する」という共通点があることに着目、本システムの共同開発にこぎ着けた。
収集地点を示す地図や目的地までのルート、収集地点別に定められた約束事や注意事項などのノウハウを車載モニターに表示。業務に習熟していない新規雇用者や急な応援を依頼したドライバーでも熟練者に匹敵する効率的な収集業務が可能になると見込む。
右左折のタイミングを音声で案内するほか、スクールゾーンといった規制提示や、塵芥車が走行可能な道路幅を考慮したルート案内など、車両の特性に応じた安全走行を支援する。
事務所側が送信した応援要請は、即座に車載モニターに掲示。リルート発生時には、現在ルートの残りの収集ポイントと、新たに連絡のあった追加収集ポイントを考慮して自動生成した最適ルートをモニターに表示する。ドライバーが日頃担当していない地域やルートであっても、確実に効率的な収集作業が行えると見込む。
収集地点での不法投棄、排出重量、給油量、ドライバーの休憩時間など、これまで手書きメモで持ち帰っていた報告事項を、停車時に現場ですぐにタッチパネル形式で感覚的にモニターに入力可能。事務所に帰ってからの日報作成業務が不要になると想定している。
車両の運行を采配する管理者は、画面上で登録した全ての車両の現在位置や作業状況（走行中、休憩中など）、積載状態の目安をリアルタイムに把握できる。収集物が満載となった車両が、積載物を一旦排出するためにルートを離脱する際などは、管理者が画面上で適切な応援車両を選択し、即座に応援の要請に必要なデータ生成と支援要請メッセージを送信する仕組み。
管理者は、急なルート変更や収集指示を、ドライバーの車載モニターへ送り込める。一斉連絡や車両別連絡のいずれもカバー可能で、運転中のドライバーへの電話連絡が減り、走行安全性の向上にも寄与するとみている。
走行データや入力された収集実績に基づき、業務日報を自動生成する。乗務終了後の事務作業を削減し、残業時間短縮に貢献するとともに、計量データもリアルタイムで反映するため顧客別や月別の集計も可能。
収集履歴やドライバーが入力した作業実績などをデジタルデータとして蓄積・出力できるようにしており、データを活用することで、実績に基づく配車計画や車両メンテナンス計画の策定、安全教育への展開もカバーできる。
（藤原秀行）※いずれも両社提供
