ナスタ調査、利用進むも「不安解消」が次の課題と分析
住宅の郵便受けや宅配ボックスを手掛けるナスタは12月26日、、2019年から毎年行っている「置き配に関する実態調査」(25年12月実施)の第8回結果を公表した。
25年の置き配サービスの利用経験率は前年の24年から微増したものの、伸びは1ポイント余りに鈍化。不安を感じる層の心理的ハードルとして「盗難」が7割に上り、際立っていることが分かった。
同社は「盗難をはじめとする不安をいかに解消するか、が次の課題となっていることがうかがえる」と分析している。

「これまでに置き配(非対面受け取り)サービスを利用したことがあるか」を尋ねたところ、「ある」と回答した人は73.7%で、前年の72.4%から約1ポイントの増加。19年調査開始時の26.8%と比べると約2.7倍と、普及自体は着実に進んでいる一方、前年は5.1ポイント増だった伸びが鈍化した。
置き配場所として最も多く利用されているのは前年と同様に「玄関先(荷物を地面にそのまま置く)」で60.4%。次いで「宅配ボックス」24.8%、「物置」2.9%、「メーターボックス」5.6%、「車庫」2.0%、「自転車のかご」2.0%、「郵便受け(ポスト)」2.0%と続いた。


今年、再配達になったことがあったかを訊ねたところ、「よくあった」13.5%、「時々あった」34.0%、「まれにあった」32.9%に対し、「全くなかった」は19.7%。前年の「全くなかった」(18.2%)からは増加しており、再配達がゼロだった人の割合は着実に増えているとみている。
一方、「去年と比べて再配達になる回数は減りましたか」の問いには、「非常に減った」14.1%、「やや減った」23.8%の合計は37.9%にとどまった。前年の「減った」の計46.9%からは約9ポイントダウンしており、生活者の体感としては「再配達は減り続けている」という実感が弱まりつつあることがうかがえるとみている。
再配達を減らした手段としては、「玄関先への置き配」53.4%、「時間帯指定」37.0%、「宅配ボックス」30.8%、「配達ロッカーやコンビニ・オフィス受け取り」なども各1〜7%台に上っており、置き配・宅配ボックスの活用に加え、時間指定やロッカー利用など、多様な手段を組み合わせながら再配達削減が図られている様子が見てとれると指摘している。


置き配利用者に置き配サービスの良さを聞いた結果、上位は「荷物の受取時間を気にせず外出できる」68.4%、「再配達の調整をする必要がなくなる」41.7%、「手が離せない時にも受け取れる」37.3%、「配達員の負担軽減に貢献できる」32.9%が占めた。
「自分の都合の良いタイミングで受け取れる」という時間的な自由度に加え、再配達削減や配達員の負担軽減といった、社会的な意義も生活者に意識されていることがうかがえると説明している。

置き配サービス利用者にトラブル経験について尋ねたところ(複数回答)、「特になし」が65.6%の半面、何らかのトラブルを経験した人は34.4%だった。
具体的なトラブル内容としては、「荷物が盗まれた」3.9%、「荷物が濡れた」9.2%、「荷物が壊れていた」5.8%、「荷物で玄関ドアが開かなくなった」6.7%、「他人の荷物が届いた」7.1%、「荷物が届かなかった(他人の家に置き配された)」9.2%、「指定した場所に置いてもらえなかった」7.2%と、多様なトラブルが報告されている。
前年は置き配トラブル経験が33.0%だったのに対し、今年は34.4%とわずかに増加しており、利用拡大とともにトラブルも一定程度、顕在化している現状が示唆されている可能性がある。

「置き配が標準サービスになることについて不安を感じるか」という問いに対して、「非常に不安を感じる」14.6%、「やや不安を感じる」28.4%で、合計43.0%が不安を抱いていることが分かった。
具体的な不安内容(複数回答)として、「荷物が盗まれる」72.3%、「荷物が濡れる」40.7%、「荷物が壊れる」35.1%、「荷物が届かない(他人の家に置き配される)」37.0%、「いつ荷物が届いたかわからない」28.7%、「プライバシーが侵害される(送り状を見られるなど)」24.4%、「不在であることがわかってしまう」27.7%などが挙がった。
「荷物が盗まれる」は7割超と突出しており、置き配に対する心理的ハードルの中心に「盗難リスク」があることが明らかになったと分析している。


「置き配が標準サービスになった時に、宅配便を安心して利用するために有効だと思うこと」について聞いたところ、「宅配ボックスの設置」53.4%、「防犯カメラの設置」34.2%、「コンビニエンスストア受け取りの活用」29.1%、「駅などの宅配ロッカーの活用」19.5%、「宅配営業所受け取りの活用」16.3%、「置き配保険の加入」10.3%が挙がった。
不安の中心にある「盗難」や「紛失」に対して、物理的な設備(宅配ボックス・防犯カメラ)と、受け取り場所の選択肢(コンビニ・ロッカー・営業所)を組み合わせることが、生活者にとって安心材料になっているとの見方を示した。

■調査概要
調査対象者:ネットショッピング利用者
調査時期:2025年12月8~9日
調査方法:インターネットリサーチ
調査人数:2000人(男性100人、女性1000人)
対象年齢:20代400人/30代400人/40代400人/50代400人/60代以上400人
(藤原秀行)※いずれもナスタ提供










