下請法改正した「取適法」が施行、発荷主からの運送委託を規制対象に追加

下請法改正した「取適法」が施行、発荷主からの運送委託を規制対象に追加

一方的な代金決定など禁止、中小の賃上げ促進狙い

受注側の中小企業がコスト上昇分を代金により適切に価格転嫁できるよう発注側企業への規制を強めることなどを柱とした改正下請法と改正下請中小企業振興法が1月1日、施行された。政府は中小企業の待遇改善や賃上げを促進したい考え。

改正に伴い、規制対象となる取引に、発荷主が自社の事業のために行う物品の運送を委託する「特定運送委託」を追加した。既に運送事業者間の取引は規制対象になっており、範囲を広げることで運送業の保護を強化する。



公正取引委員会と中小企業庁は「委託先の運送事業者に対し、倉庫内での荷役作業や長時間の荷待ちなどの付帯業務を無償で行わせる場合には(取適法で定めている)不当な経済上の利益の提供要請の禁止に該当する恐れがある」と警告している。

両法は改正に際し、「下請け」の用語を見直し、「下請事業者」を「中小受託事業者」、「親事業者」を「委託事業者」に変更した。法律の名称も下請けの表記をなくし、発注側と受注側で上下関係があるような印象を与えるのを解消するよう努める。

名称は改正下請法が「中小受託取引適正化法」(取適法)、改正下請中小企業振興法は「受託中小企業振興法」(振興法)に変わった。

取適法は対象となる取引で、発注側が受注側に対し、代金の見直しに関する協議に応じなかったり、協議の場で必要な情報を提供しなかったりして、一方的に代金を決めることを禁じ、価格交渉を確実に実施するよう求める。

併せて、手形で代金を支払うことを禁じるほか、他の手段であっても受注側が支払い期日までに代金の相当額を受け取るのが困難なやり方を使うことも禁止する。

さらに、規制対象となる取引は現在、発注側と下請けの事業者の資本金を基準としているが、新たに常時雇用の従業員数も加えた。取引先に増資を迫って法律の適用を逃れる事例があることなどから、規制の在り方を見直した。



「特定運送委託」の場合、基準の従業員数が発注側は300人超、受託側は300人以下。発注側には発注する業務内容の明示、書類の作成・保存、支払期日の設定(業務終了から60日以内)、遅延利息支払いの4点が義務付けられ、支払い遅延や買いたたき、一方的な代金決定、代金の減額など11の事項が禁じられる。

振興法は、価格転嫁や取引適正化の取り組みが不十分な発注側企業に対し、従来の公正取引委員会や中小企業庁に加え、各事業分野の所管省庁も指導や助言を行えるよう権限を拡大。国土交通省の「トラック・物流Gメン」の実態調査などで判明した問題も対象に加わえている。

(藤原秀行)

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