【現地取材】成田新滑走路供用開始のずれ込みを正式報告、「土地収用制度活用も必要」と表明★続報

【現地取材】成田新滑走路供用開始のずれ込みを正式報告、「土地収用制度活用も必要」と表明★続報

藤井NAA社長が金子国交相に報告、延伸部の先行供用も

成田国際空港会社(NAA)の藤井直樹社長は4月2日、東京・霞が関の国土交通省内で、金子恭之国交相と会談した。

席上、藤井社長は同空港の機能強化に向けて構想を進めている滑走路の延伸・新設に必要な用地取得に関し、新設するC滑走路でまだ全体の1割程度を確保できていないため、供用開始が当初計画の2029年3月からずれ込むとの見通しを正式に伝えた。



併せて、場合によっては、公共事業に必要な用地を所有者へ正当な補償を実施することを条件に強制的に取得・使用できるようにする土地収用制度の活用も必要との認識を示した。

また、延伸するB滑走路に関しては必要な用地を押さえられたと説明。B滑走路の延伸部の先行供用を検討する方針を示し、実施する場合は追加工事が必要になることから29年度内の供用開始を目指す考えを表明した。

金子国交相は土地収用制度の活用について理解を示しながらも、その前提として地元の理解を得ることなどを要請するとともに、地権者の合意を得た上で取得できるよう取り組みを継続することを指示した。B滑走路延伸部分の先行供用に対しても、地元の理解を得るよう求めた。

成田空港は現在、AとBの滑走路2本を運用している。訪日観光客の増加などで航空需要が今後も伸びると予想されているのに対応するため、NAAは国交省や地元自治体などと連携し、3500mのC滑走路を新設するとともに、B滑走路を現状より1000m伸ばして3500mにする工事を進めている。

NAAは工事完了を受け、年間の発着枠を現行の34万回から50万回へ高める方針だ。

ただ、NAAによれば、今年3月末時点でB滑走路の延伸については必要な用地の99.5%を確保できた一方、C滑走路は88.7%にとどまっている。



藤井社長は金子国交相との会談後、国交省内で記者団の取材に応じ、C滑走路の用地について「これまで400回以上、地権者に説明会を開いてきたが、移転補償などに納得してもらえないケースがあり、必要な用地を確保できていない」と明らかにした。

4月10日に国交省航空局や成田空港地元自治体で構成する「成田空港滑走路新増設推進協議会」で供用開始が遅れる背景などを説明する意向も示した。

C滑走路の供用開始時期の見通しについて問われたのに対しては「現時点で話せる段階にない」と述べるにとどめた。「用地の任意取得にはこれまで以上に尽力していく」と強調した。

NAAはロジビズ・オンラインの取材に対し「現時点では空港会社から大臣に、土地収用制度の活用も必要と考えられることを相談しただけで、制度活用の準備や手続きを始めるというわけではなく、大臣に許可を求めたわけでもない。土地取得ができていない理由は、地権者ごとに事情が異なるので、これといった要因があるわけではない」と説明。

B滑走路延伸部分の先行供与については「滑走路ごとに旅客機優先とか貨物機優先とか決めているわけではないので、貨物便の発着枠も拡大する」と指摘。「長距離便や大重量の貨物機の発着も可能になるので、貨物便の誘致にも取り組みたい。ベリー便(旅客機の床下貨物室を使う輸送)も貨物をより多く搭載できるようになるので、エアラインのメリットも増す」と語った。


会談後、報道陣の取材に応じる藤井社長



(石原達也、藤原秀行)

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