グレイオレンジのキャッシュマンCOO、GROUNDと良好な関係維持を強調
インド発祥の物流ロボットシステム開発メーカー、GreyOrange(グレイオレンジ)のシニアバイスプレジデント兼グローバルCOO(最高執行責任者)を務めるジェフ・キャッシュマン氏は9月26日、東京都内で開いたメディア向け事業戦略説明会の後、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。
キャッシュマン氏は、日本に関し「非常に重要な市場」と明言。商品の保管棚を持ち上げてピッキング担当者の元に運ぶ主力の自動搬送ロボット「Butler(バトラー)」に関し、今後も日本でグローバル全体の1割程度の販売比率を占めると予測、物流ロボット市場で一定の存在感を発揮し続けることに強い自信を見せた。
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事業戦略説明会に登場したキャッシュマン氏
主力製品の「バトラー」
米国の「伸びしろの大きさ」にも期待
キャッシュマン氏は、2015年に日本へ進出した当時からの歩みを振り返り、「海外展開の最初の場所として日本を選んだのは非常に重要な選択だった」と指摘。「年間に最低4回程度は来日している。できればもっと訪問したい」と明かし、日本市場重視のスタンスをアピールした。
今年6月に販売代理店の契約を締結したオークラ輸送機に関し「戦略的な方向性がぴったりと一致している。顧客がこういうニーズを持っているという状況の理解が一緒だった」と高く評価。その上で、同社と連携してEC事業者や流通業にバトラーの利用を働き掛けていくことにあらためて意欲をのぞかせた。
一方、最初に販売代理店契約を結んだスタートアップ企業のGROUNDについては「素晴らしいパートナーであり、今も良い関係を維持している。昨日も日本で担当者と会っている」と語り、オークラ輸送機と併せて、良好なリレーションシップを続けていく姿勢を強調した。
今後の戦略をめぐっては「当社の製品は性能が高いことが最大のセールスポイント。顧客のWMS(倉庫管理システム)と連携して作業の最適化をリアルタイムで図ることができるソフトウエア『GreyMatter(グレイマター)』が当社の競争優位性の源となっている。無理に値引きしてお客さまの関心を呼ぶようなことをしなくても評価していただける」と解説した。
日本以外の海外展開としては「米国はまだ進出して間もないので伸びしろが非常に大きく期待している」とコメント。一方、中国については「安価な製品を扱う競合が非常に多いので当社にとってあまり有望な感じはしない」との見方を示した。
アマゾンに対抗できる「キバキラー」
キャッシュマン氏は同日の事業戦略説明会で、世界のフルフィルメントセンターでロボットの普及台数が2018年から8倍まで拡大し自動化が進んでいる実態に言及し、日本でもロボット化は必須と予測。
その上で、「当社は(アマゾンが買収したロボットメーカーのKiva〔キバ〕の物流ロボットに対抗できる)『キバキラー』だ。今はキバのシステムを有するアマゾンにEC他社が苦戦を強いられているが、バトラーを採用することで対抗できるようになる」と語り、アマゾンを引き合いに出しながら自社の製品をアピールした。
(藤原秀行)