公取委、楽天の「送料込み」で緊急停止命令を東京地裁に申し立て

公取委、楽天の「送料込み」で緊急停止命令を東京地裁に申し立て

16年ぶり、優越的立場利用し不利益な取引変更で独禁法違反の疑いと指摘

※午後4時に配信した記事の内容を差し替えました

公正取引委員会は2月28日、楽天がインターネット通販サイト「楽天市場」で3月18日から「送料込み」の商品価格に変更することを予定しているのに対し、独占禁止法に基づき、緊急停止命令の申し立てを東京地裁に行ったと発表した。

公取委は理由として、優越的な立場を利用して出店者の不利益となるような取引変更をしようとしており、独禁法違反の疑いがあると指摘。また、「送料込み」の表示を採用すれば多くの出店者が自由かつ自主的な判断で取引するのを妨げ、公正な競争を阻害するとの見解を示しており、排除措置命令より緊急性が高いとして同命令の申し立てに踏み切ったと説明している。

緊急停止命令は、独禁法違反が疑われる行為を一時的にストップさせる措置で、従わない場合は30万円以下の過料を科す。公取委が同命令を申し立てたのは、2004年以来16年ぶりという。東京地裁が命令を出すかどうか判断が注目される。

楽天は原則として商品を3980円以上購入した場合は「送料無料」とサイトに表示する方針を表明。これまで出店者によってばらつきがあった送料を一律にすることで、消費者が商品を購入しやすくなり、全体の売り上げ増につながると狙いを説明してきた。

ただ、一部出店者は送料の負担を強いられることになるなどと激しく反発、公取委も独禁法違反の疑いで調査を始めたことから、同社の三木谷浩史会長兼社長は2月13日、「送料込み」の表現に変えると発表。同時に「『送料込みで価格を調整して下さい』と出店者に言っているので優越的地位の乱用には該当しない」との認識を示していた。

(藤原秀行)

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