CBREがレンダーの不動産融資戦略アンケート
シービーアールイー(CBRE)は10月4日、金融機関などのレンダーを対象とした、不動産分野への融資戦略に関するアンケート調査結果を公表した。
魅力的なアセットタイプとして、物流施設を選んだ向きが全体の1割強に上り、オフィスビルや賃貸マンションに次ぐ割合を示した。
主要アセットごとに新規開発案件も融資対象としているかどうかを尋ねたところ、マルチテナント型の物流施設が8割超と最も多く、収益の安定性などが好感されていることが浮き彫りとなった。
CBREはレンダーの間で不動産投資市場は引き続き活況を呈するとの見方が多いものの、融資姿勢は慎重かつ冷静であることも示されたと説明している。
調査は今年7~8月、不動産のノンリコースローンに従事している企業に協力を依頼。メガバンクや信託銀行、地方銀行、生命保険会社、不動産ファンド運営会社など26社から回答を得た。
eコマース拡大で「魅力的」と注目集める
2018年度の新規融資額の見込みを尋ねたところ、17年度実績より「増える」と答えた割合が、シニアローンは2割強、メザニンローンは3割強となった。「変わらない」も合わせると、シニアローンは8割弱、メザニンローンは9割強に達した。
融資の可否を判断する上で最重視する項目(複数選択)は、「LTV」が最多で27%、次いで「安定した収益性」が19%となった。
CBREは、リーマンショック前はLTVの水準が現状を上回っていたことを踏まえ、「当時に比べてレンダーはより慎重な姿勢で融資活動に取り組んでいる」との見方を示した。
17年度末の融資残高が最も多いアセットは、オフィスが58%、賃貸マンションが15%と2種類で7割を超えた。物流施設は1割弱だった。
最も魅力的なアセットはオフィスが50%、賃貸マンションが31%だった。物流施設は不動産市場の主軸を占める2つのアセットに次ぐ水準を占める一方、商業施設を選んだ向きはなく、CBREは「eコマースの拡大が両アセットタイプの明暗を分けた」と推察している。
主要アセットごとに、新規開発案件も融資対象になるかどうかを聞いた結果、マルチテナント型物流施設は85%で最も多く、次が賃貸型ホテルの81%。7割台のオフィスや賃貸マンション、7割弱の都心の商業施設より高い割合を示した。
(藤原秀行)