【新型ウイルス】貨物運送収入2割以上減、5月は29%に倍増

【新型ウイルス】貨物運送収入2割以上減、5月は29%に倍増

国交省が事業者のコロナ影響調査、内航貨物船も経営厳しく

国土交通省はこのほど、新型コロナウイルスの感染拡大が所管する業界に及ぼしている影響に関する調査結果を公表した。

貨物自動車運送業に関し、運送収入が前年より2割以上減った割合が4月の14%から5月は29%に倍増。内航貨物船でも同様の傾向が見られた。メーカーの生産一時停止などが物流業界に影を落としていることがあらためて示された。

調査は5月末時点で貨物自動車運送や内航貨物船、貸し切りバス、乗り合いバス、タクシーなどの業界を対象に実施。貨物自動車運送は143、内航貨物船は89の事業者に対し、業界団体などを通じてヒアリングした。

貨物自動車運送は、運送収入が前年同月より2~3割減ったとの回答が19%で4月から13ポイント増加。3割以上も10%と、4月から2ポイント拡大した。0~1割減少が32%、1~2割減少が27%、影響なし・増加は12%だった。

今後についても、2割以上減少を見込む事業者が6月は20%、7月は24%で引き続き経営環境が厳しいとの見方が多いことをうかがわせた。

品目別では、5月は「鉄鋼厚板・金属薄板・地金など金属素材」が28%減、「完成自動車・オートバイ・自動車部品など」が45%減と不振が目立った。新型コロナウイルスの感染拡大で自動車の生産拠点が稼働を停止したり、一部ラインを止めたりしたことが響いた。

内航貨物船も、5月は前年から売り上げが2~3割程度減少したのが5%、3~5割程度が20%、5~7割程度が5%で、2割以上落ち込んだのが全体の30%に達した。


貨物自動車運送の運送収入の推移(以下いずれも国交省資料より引用・クリックで拡大)


内航貨物船の売上金額の推移

一方、国の支援制度の利用状況は、貨物自動車運送で「持続化給付金」などの資金繰り支援の給付を既に受けたのが10%、申請済みが9%、活用に向けて検討中が31%だった。活用予定なしが50%に上った。

「雇用調整助成金」に関しても、給付を既に受けたのが1%、申請済みが15%、活用に向けて検討中が36%で、活用予定なしは48%に達した。内航貨物船も、ともに活用予定なしが最も多い状況は同じだった。タクシーやバスなど他業界に比べると活用している割合が低いのが目立った。

(藤原秀行)

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