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【独自取材】輸配送業務のDX、「配車担当者や協力運送会社への配慮」が不可欠

【独自取材】輸配送業務のDX、「配車担当者や協力運送会社への配慮」が不可欠

フレクト主催ウェブセミナーで推進のヒントを紹介

クラウド型輸配送効率化システム「Cariot(キャリオット)」などを手掛けるフレクト(東京・内幸町)は6月23日、輸配送業務のDX(デジタル・トランスフォーメーション)実現に向けたヒントを探るウェブセミナーを開催した。

同社に加え、配車支援システム「LogiSTAR(ロジスター)」を提供するパスコ、運送事業者と荷主企業のマッチングサービス「ハコベル」を展開するラクスルの担当者が登壇。参加した荷主企業や物流事業者の約150人を前に、トラックドライバーや配車担当者の不足、配送手法の複雑化といった課題を抱える輸配送管理を効率化するため、それぞれ独自のアプローチを試みていることを解説した。

その経験を基に、DXを推進する上で輸配送経路や配車などの自動化を進めるに当たり、配車担当者の思考プロセスなどに配慮したシステム設計や協力輸送会社が参加しやすい仕組みの構築など、下地作りとして関係者に対する細かな配慮を施していく必要性を強調した。

人間の配車プロセスをシステムに反映

セミナーではまず、パスコの井手修平システム事業部営業統括部長が「パスコが見据える次世代TMS(配車管理システム)」をテーマに講演した。

井出氏は、配車組みの自動化において従来、システムが算出する効率的なルートが配車担当者の思考プロセスを反映していなかった点に言及。「配車結果が気に入らないからといって、パラメーター設定を自分で行うのはハードルが高い。配車担当者は『このルートは固定』『この方面はこの委託先に依頼する』といった決め事や、物量や車両のリソースから積載率を少し落として全車に荷物を振り分けるなど、さまざまな条件を考慮して配車している」と指摘した。

配車組みでは重要顧客の時間指定がある荷物から優先的に割り付けて根底ルートを作る場合が多いが、パスコではそうした一般的な配車プロセスを反映させて計算することで、より配車担当者の要望に合った配車組みができるシステムを構築したと説明。配車表も担当者が自由にカスタマイズできるように設定、継続的に使用しやすい仕組みにしたことを紹介し、配車担当者への手厚い配慮がDXを後押しする大きな要素になるとの見方を強くにじませた。

さらに、今秋をめどに、各日・時間帯に稼働できる車両リソースの上限を店舗やECサイト側に公開し、よりリソースが空いていて自由度が高い日にオーダーを誘導していく機能をリリースする方針を公表。その目的として、従来の受注ありきの配車組みから、一歩進んだ輸配送管理を実現したいとの思いを語った。

ネットワーク型TMSで協力会社をデジタル化

続いて、ラクスルの鈴木裕之ハコベル事業本部ソリューション推進部長が「運送のマッチングからネットワーク型TMSへ ハコベルの活用」と題してプレゼンテーションに臨んだ。

鈴木氏は、同社が一般貨物のマッチングサービスを運営する中で実際に行ってきたDXの成果を紹介。そのノウハウから発展させた運送事業者向けスマートフォン用アプリ「ハコベルコネクト」の取り組みと“ネットワーク型TMS”の効用を語った。

鈴木氏は「DXがなかなか進まない理由の一つは協力会社が応じてくれないこと。デジタル化のためには、関係するプレーヤーにシステムをしっかり使ってもらえるよう支援するオンボードが非常に重要だ」との見解を示した。

当初、一般貨物のマッチング事業は電話とファクスでスタートし、業務上困難に感じた部分を徐々にデジタル化していった流れを解説。現在は約90%の案件がウェブのみでマッチングしており、5年以上運営している軽貨物のマッチングに絞ると、2分間で約98%が自動的にマッチングを完了できる状況だという。

自社の配車業務で蓄積した知見を基に、19年から自社と協力会社の車両管理、求貨求車を一元的に行えるネットワーク型TMS「ハコベルコネクト」を提供していることに触れ、「配車業務ならネットワーク化、自動化によって60%くらいまでの工数削減が可能だとシミュレーションしている。50%まで減らせているお客さまもいらっしゃる。一番の鍵はネットワーク化。物流では異なる事業体の会社がバリューチェーンに参加している。それらのプレーヤーにプラットフォームに参加してもらうことで情報の流通スピードが上がり、業務効率は飛躍的に向上する」との見方を明らかにした。

情報の断絶が非効率を生む

最後に、フレクトの大槻真嗣執行役員(Cariot事業部長)が登場し、「動態管理から始めるルートの最適化への道のり」について話した。

大槻氏は、複数の事業者が関与する物流の過程で「各プレーヤーがリアルタイムに同じ情報を共有してコミュニケーションできていない」と課題を説明。多くの荷主は、運送会社の配送状況の把握が即時にできず、計画の遅れや災害に迅速な対応が難しいといった問題を抱えており、そうした状況では非効率の原因を特定したくても委託先の配送プロセスを見渡すことは困難だと語った。

同社の「Cariot」では荷主が輸配送プロセスの全体を把握して非効率の原因を特定できる仕組みを提供しているとアピール。その具体例として、配送計画をシステムに取り込み、GPSを利用した動態管理システムでリアルタイムにモニタリング、その情報を荷主と共有することで、遅延が発生しても早期にキャッチアップし、後工程の拠点に連絡するなど荷主と運送会社それぞれが適切な対応を講じられるよう担保している点を列挙した。「ドライバー、お客さま、各プレーヤーが同じ指標を見て改善に取り組めない、情報の断絶が非効率の根源的原因だと考えている」と強調。情報共有の必要性を重ねてPRした。

(川本真希、藤原秀行)

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