「禍根残す恐れ」と懸念、1株当たり価格の引き上げ要求
米投資ファンドのRMBキャピタルは8月11日、伊藤忠商事が実施しているファミリーマートへの株式公開買い付け(TOB)に反対すると発表した。
1株当たり2300円に設定しているTOBの価格が安過ぎると主張、新型コロナウイルスの感染拡大前に計画していた2600円へ引き上げるよう要求している。
伊藤忠とファミリーマートの発表によれば、伊藤忠は3月2日に当初1株当たり2600円でTOBを行い、完全子会社化する方針を提案。その後、新型コロナウイルスの感染拡大で経済情勢が悪化し、将来の事業展望に不透明さが強まったことを踏まえ、2300円に修正していた。
RMBは経済産業省が策定したM&Aに関する指針の中で、親会社が上場子会社を買収する際、少数株主の権利を保護するよう求めていることに言及。今回のTOBに関連し、少数株主が応募すべきかどうかを適切に判断するための情報開示が十分行われていないと指摘している。
さらに伊藤忠がファミリーマートの企業価値を長期的な観点から考慮せず、コロナ禍による一時的な業績悪化・株価下落を奇貨として提案価格を二転三転させ交渉を混乱させているなどと両社の対応を非難。「ファミリーマート少数株主にとって強圧的とも取られかねない公開買い付けを実施している。買い手のみが満足し、売り手や世間が納得できないため、将来にわたって禍根を残す恐れがある」と懸念を表明し、買い付け価格の引き上げを主張している。
RMBは株を取得した企業に経営改善を強く迫る“物言う株主”として知られ、最近では三陽商会やテレビ朝日ホールディングスに株主提案をした。伊藤忠とファミリーマート両社の株式を保有している。
(藤原秀行)