グローバルで拠点整備も、国際的基準GDP準拠のサービス整備へ
日本通運は8月31日、医薬品物流の体制強化に向け、同社が独自に開発した医薬品専用車両を導入するとともに国内外で物流拠点を整備する方針を正式発表した。
医薬品の適正な流通に関する国際的基準「GDP」に準拠することで、厳格な温度管理などを求められる医薬品を安全・安心に取り扱うサービスを整備、グローバル規模で物流需要を獲得していきたい考えだ。
既に公表している、国内4カ所で建設を進めている医薬品に特化した物流拠点を活用、2021年2月にサービスを開始する予定。新設倉庫は24時間体制での温度管理や自動化設備の活用などを進める計画だ。
医薬品専用車両は各種セキュリティーシステムを活用するほか、複数の温度帯に対応した空調設備を完備。輸送中の動態管理も含めた温度管理システムを運用し、車両に搭載した医薬品の状態をリアルタイムで把握できるようにしている。
グローバルレベルの取り組みとしては、GDPに準拠したCFS(コンテナフレイトステーション)を英国のロンドン、イタリアのミラノ、インドで開設しているほか、米国でも拠点でGDP認証を取得。経済成長に伴って高度な医療サービスのニーズが高まっているアジア各国でも同認証の取得を図る。海外で医薬品の取り扱いに強みを持つ物流事業者をM&Aすることも視野に入れている。
さらに、今年4月にサプライチェーン全体の最適化を推進するため新設した「デジタルプラットフォーム戦略室」が軸となり、ブロックチェーンとIoT(モノのインターネット)を生かして温度管理などの各種物流情報を関係者が迅速に共有できるデジタルプラットフォームの構築を進める。
同社は現行の経営計画で、重点産業の1つに医薬品を掲げている。日本でもGDP導入に向けた準備が進められているのを踏まえ、今年7月には「医薬品事業部」と「医薬品物流品質保証室」を新設、全社統一の基準で物流サービスの品質保証などを図っている。
専用車両のイメージ
デジタルプラットフォームのイメージ※クリックで拡大(いずれも日本通運プレスリリースより引用)
(藤原秀行)