3月以来の20台、慎重な見極め必要か
帝国データバンクが10月5日公表した9月の景気動向調査結果によると、景況感を示す業種別の景気DIは「運輸・倉庫」が28・1となり、8月の前回調査から2・7ポイント上昇した。3カ月続けて前月より改善した。
ただ、水準自体は景況感の分かれ目となる50から大きく遠ざかっている状況に変わりはなく、7カ月続けてリーマンショック後並みの20台を記録。新型コロナウイルスの感染拡大で政府が緊急事態宣言を発令したころに比べれば景況感に持ち直しの動きが見られるものの、まだ動向を慎重に見極める必要がありそうだ。
景気DIを全業種ベースで見ると、9月は1・9ポイント上がって31・6だった。4カ月連続で上昇し、今年3月以来、6カ月ぶりに30台へ回復した。TDBは全体の先行きについて「今後 1 年程度の国内景気は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済活動再開のバランスが一段と重要性を増していくとみられる。良化・悪化要因を抱えながら、横ばい傾向が続くと見込まれる」と展望した。
運輸・倉庫業のコメントでは、現状に関し「自動車関連の生産が上がって、仕事量が増えてきた」(一般貨物自動車運送)、「近隣倉庫の在庫状況はあまり空きがない」(普通倉庫)と前向きな声が出ている一方、「BtoBの荷動きが非常に減少している」(梱包)、「輸出入の貨物取り扱いが減ったままで、厳しい業績が続いている」(港湾運送)と明暗が分かれた。
先行きに対しても「物量の増大。自動車関係の燃料費が現状より低下する」(一般貨物自動車運送)、「新型コロナウイルスが終息したとしても、観光業などの需要が回復するには相当の時間がかかると考えられる」(冷蔵倉庫)と評価二分された。
調査は9月15~30日にインターネット経由で実施、全国の1万1689社が有効回答を寄せた。回答率は49・3%だった。運輸・倉庫業は518社が調査に協力した。
(藤原秀行)