効果見極め、21年の本格活用目指す
パナソニック子会社で物流現場などの作業負荷を軽減する着用型ロボット「パワードウェア」を手掛けるATOUN(アトウン、奈良市)と鈴与は10月6日、作業時に腰と腕の負荷を同時に軽減するパワードウェア「ATOUN MODEL Y+kote」を鈴与の物流拠点で実際に使い、効果を試す実地テストを開始したと発表した。
東京都大田区東海の「鈴与京浜支店大井物流センター」で同日、パワードウェアを使った現場作業のデモンストレーションをメディアに公開した。
ATOUNが既に販売しているパワードウェア「ATOUN MODEL Y」に、新たに開発した補助パーツ「kote」を組み合わせ、ペアで使う。荷物を持ち上げる際、センサーが体の動きを感知し、左右の手に装着したグローブに取り付けてあるワイヤーをモーターで巻き取り、重いものを持った腕を引き上げるのを支える。左右の腕で別々に作動させることが可能。
ある程度の力を込めないとワイヤーが巻き取られないため、koteを着けたままペンを持ってメモや書類に記入したり、荷物を持ち上げるのではなく横にずらしたりする動作を円滑に行える。両腕の力を最大12キログラムまでサポート可能という。koteは2021年1月の出荷開始を予定している。
鈴与は19年、既に全国の3拠点でATOUN MODEL Yを導入している。今回はkoteも使用し、現場作業者の負荷をより軽減できるかどうかを同センターなどで実際に見極めた上で、21年の本格利用開始を目指す。ATOUNは作業の負荷軽減や効率などのデータを蓄積し、物流現場での効果的な運用方法を確立していくことを想定している。
同日のメディア公開では、パワードウェアを装着して荷物を積み降ろしするデモンストレーションを行った。作業を行った担当者は「荷物を持ち上げる作業が非常に楽。パワードウェアの反応も良く作業がスムーズに進められる」と感想を述べていた。
ATOUNの藤本弘道社長は「動作をスムーズにつなげるのが当社のパワードウェア最大の特徴。長時間の作業を楽にするなど、物流業界の働きやすい環境整備に貢献していきたい」と意気込みを語った。
鈴与の會田晃司3PL事業推進室次長は「(ATOUN MODEL Yの活動で)作業翌日の筋肉痛がなくなったといった声を現場から聞いている」と説明。効果を見極めた上でkoteと組み合わせたパワードウェアを同社の拠点で順次展開していきたいとの意向を示した。
パワードウェアを装着したデモンストレーションの様子※クリックで拡大
(藤原秀行)