10年以内の「売上高1兆円」などは見直しに言及
近鉄エクスプレスの鳥居伸年社長は11月11日、オンラインで開催した2020年9月中間連結決算のメディア向け説明会見で、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な経済状況の混乱を受け、長期ビジョンとして掲げてきた10年以内の「売上高1兆円、航空貨物量100万トン、海上貨物量100万TEU(20フィートコンテナ換算)」などの達成を見直す可能性に言及した。
一方、「世界トップ10入り」の目標に関しては、引き続き長期ビジョンとして活用していく方向性を示した。
鳥居社長は21年度を最終とする現行の中期経営計画について「設計した時と状況は劇的に変わってきているが、基本方針は変えることなく望んでいきたい」と明言。フォワーディング事業強化などの基本的な路線を堅持していく意向を見せた。
また、数値目標については「今修正する時期ではない。しっかり見直しを図り、次期の修正に反映させていく」と述べ、20年が終わった段階で事業環境を踏まえ、適宜修正していく可能性を繰り返し表明した。
さらに、「フォワーディング事業を基軸に存続、成長していくには取扱数量は必須条件と考えている」と解説。航空と海上の両面で取扱数量を着実に積み上げていくことの重要性を強調した。併せて「グローバルトップ10は今この状況においても決して夢物語ではないと考えている」と訴えた。
コロナ禍で世界的に旅客機が飛ばなくなったあおりで、輸送の際、搭載するスペースを十分確保できない事態に陥っていることについては「航空スペースの不足は当面続くのではないか。海上もしかりだと思う」との認識を示した。
(藤原秀行)