世界R&D投資上位1000社の総額、18年は11・4%増の88兆3700億円

世界R&D投資上位1000社の総額、18年は11・4%増の88兆3700億円

PwC調査で過去最高、伸び率も7年ぶり2桁

 PwCコンサルティングの戦略コンサルティング部門「Strategy&」はこのほど、2018年のグローバル・イノベーション調査結果を発表した。世界の上場企業のうち今年6月末時点で過去1年間のR&D(研究開発)投資規模上位1000社を調査したところ、支出額は前年比11・4%増の7820億ドル(約88兆3700億円)に達し、14年目を迎えた同調査で過去最高額を記録した。

 増加率が10%を超えたのは11年(10・3%)以来、7年ぶり。特に消費財業界の伸びが目立っており、変化が激しい消費者のニーズを確実に捉えようとするメーカーの積極姿勢をうかがわせた。また、中国と欧州の企業の増加が全体を牽引した。

 一方、1000社の売上高も11・4%増の17・4兆ドル(1966兆2千億円)となり、12年(12・0%)以来、6年ぶりの2桁アップとなった。

日本企業のランクイン数は6・4%減の160、中国と差が詰まる

 産業別に見ると、伸び率は「消費財」が26・3%増で過去5年間首位だった「ソフトウエア・インターネット」(20・6%)を抜いてトップに立った。続いて「工業製品」(15・9%)、「自動車」(15・2%)、「コンピューター・エレクトロニクス」(8・6%)などとなった。

 一方、投資規模では「コンピューター・エレクトロニクス」が1760億ドル(19兆8900億円)で最多。「ヘルスケア」が1690億ドル(19兆1000億円)で2位、3位は「自動車」で1250億ドル(14兆1300億円)、4位は僅差で「ソフトウエア・インターネット」の1230億ドル(13兆9000億円)だった。

 同社は「19年にはヘルスケアがコンピューター・エレクトロニクスを超えてトップになると想定される」との見方を示した。

 上位1000社を国・地域別に分類すると、首位の米国が4・9%減の350、2位の欧州は7・2%増の252だった。3位の日本は6・4%減の160社、4位の中国が16・0%増の145社。日本企業の投資総額は増加しているものの、中国は2桁増とハイペースの規模拡大が続いており、日中間の差が詰まっている。

日本勢トップは1兆1000億円のトヨタで11位

 個別企業の上位20社では、米国のアマゾンが226億ドル(2兆5500億円)でトップを堅持。その後はグーグルを傘下に収めるアルファベットの162億ドル(1兆8300億円)、フォルクスワーゲンの158億ドル(1兆7900億円)、サムスンの153億ドル(1兆7300億円)、インテルの131億ドル(1兆4800億円)などとなった。

 日本企業では100億ドル(1兆1000億円)のトヨタ自動車が11位で最高。ホンダは71億ドル(8000億円)で18位にランクインし、前年より1つ順位が上がった。日産自動車は46億ドル(5200億円)で37位、ソニーは43億ドル(4900億円)で38位、パナソニックは42億ドル(4700億円)で39位と続いた。

 調査を担当したStrategy&米国のバリー・ヤルゼルスキ・プリンシパルは「イノベーションの卓越性そのものは、R&D支出を単純に増やすことで手に入れられるものではない。それは、企業のイノベーション・サイクル全体における戦略、文化、経営層の関与、顧客に対する深い洞察、そして研ぎすまされた実行といった緻密な配慮の結果だとわれわれは分析している」との談話を発表した。

 (1ドル=113円でロジビズ・オンライン編集部が計算、調査結果の金額単位は全て米ドル)

(藤原秀行)

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