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【独自取材】ドローン物流、事業免許の本格議論は21年後半以降か

【独自取材】ドローン物流、事業免許の本格議論は21年後半以降か

市街地上空飛ぶ「レベル4」実現の制度整備進む、今通常国会で法改正へ

2021年は物流など産業分野でのドローン(無人飛行機)活用促進に向け、制度の整備が一段と進む見通しだ。政府は安全規制の強化などを盛り込んだ航空法改正案を1月18日召集の通常国会に提出、早期成立を目指す。他にも関係省令の見直しなどを行う見通しだ。

政府は22年度に市街地上空をドローン(小型無人機)が操縦者の目が届かない長距離にわたって飛行する「レベル4」を実現させることを目標に掲げており、今回の航空法改正もその一環。

改正案は国がドローンの操縦技能が十分なレベルに達していることを証明する免許制度やドローンの機体が安全かどうかを認証する制度を創設することが柱だ。法改正後、認証を受けた機体を使い、免許を取得した人が飛行ルートなどを事前に国へ提出、許可を得ればレベル4の飛行を行えるようになる。

また、法改正と並行して飛行ルートなどを盛り込んだ飛行計画の作成、事故発生時の国への報告などを義務付ける方向だ。

法改正が実現すれば、今後はドローン物流をサービスとして展開するための事業免許制度の在り方が新たな焦点となる。政府や関係団体はまず免許制度や機体認証制度などの着実な実施に優先して取り組む方針のため、事業免許制度に関しては、官民で本格的な議論が始まるのは早ければ21年の後半ごろになるとみられる。

操縦免許は学科と実技の試験を実施

航空法改正案に盛り込む免許制度は、国の指定を受けた民間の試験機関が実務を手掛け、学科と実技の試験を実施。国に登録した民間講習機関の講習を修了した場合は試験の一部または全部を免除する見込み。資格はレベル4の飛行が可能な「一等資格」、操縦者の目が届く近距離に限定して市街地上空でドローンを飛ばせる「二等資格」の2種類とする方向で調整している。免許を持たずにレベル4の飛行を行った場合は罰金を科す。

また、機体の認証制度創設と併せて、ドローンの使用者に機体の整備を義務付け、性能が安全基準を満たさない場合は国が整備を命じることを可能にする。設計不具合が生じた際はドローンの製造者から国に報告するよう義務化。実際の検査は国に登録した民間機関が手掛ける見通しだ。

加えて、政府はドローンの所有者などの情報を事前に登録する制度を22年6月にスタートする予定。今回の法改正と合わせて、身元不明の不審なドローンが飛行して安全を脅かす事態を防ぐ狙いだ。

災害時使用の法的整備も必要に

現状ではドローン物流はまず離島や中山間部で購入した商品を運ぶ用途などに投入される公算が大きい。継続的に荷物をドローンで運搬する場合は、安全性やサービス品質を担保するため、現在のトラック運送事業者と同様の事業免許制度が求められそうだ。現時点では、既存の貨物運送事業法などに規定を追加するか、新たに法律を作成するかといった本質的な議論が行われるまでには至っていない。ドローン開発に取り組む関係者は「本当にドローン物流へ本腰を入れて参入する事業者がいるかどうかを国はまず見極めた上で、事業免許の議論を始めようとしている」との見解を示す。

国交省は18年、ドローンで荷物配送を行う際のガイドラインを初めて公表。この中で推奨事項として過積載の防止、落下に備えて損害を軽減できる梱包方法の採用、荷物の盗難防止、損害保険への加入、「ヒヤリハット」情報の集約・分析などを盛り込んだ。今後の事業免許検討ではこうした内容が議論の下地になりそうだ。

また、ドローンに関しては災害時の緊急物資輸送手段としての期待が高まっている。地方自治体や公的機関が機体を共同保有し、被災地へ適宜投入するオペレーションとなる可能性が大きいだけに、災害時のドローン使用に関しても法的な整備が今後さらに強く求められそうだ。

(藤原秀行)

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