物流向けの新たなソリューションを本格提案
パナソニックグループは5月16、17日の両日、東京都内で開かれた「アジア・シームレス物流フォーラム2019」で、物流業界向けの各種新技術を出展した。
新たな試みとして、フォークリフトが運ぶ商品に付けられたバーコードを専用カメラが一括で読み取ることで、物流拠点の入出庫業務を迅速化するソリューションを提案した。
同社は最小限の人員で業務を運用することが可能になるといったメリットを強調。2019年度は本格的に物流業界へ導入を提案していきたい考えだ。
ヒューマンエラー解消し効率的な人員配置を促進
新たなソリューションは、倉庫の搬出入エリアに設置した専用カメラが、フォークリフトに搭載して出し入れする商品群に付いているバーコードをまとめて読み取り、商品の情報を把握。検品や検査などのプロセスを効率化することを想定している。
庫内スタッフがスキャナーなどを使って行っている従来型の検品作業より時間を短縮できるほか、ヒューマンエラーを解消可能で、庫内スタッフを別の業務に最適配置することを促進できるとみている。
フォーラム会場に設けられた同社グループのブースでは、ミニチュアのフォークリフトなどを使ったデモンストレーションを実施。積み上げられた荷物に付いているQRコードを正しく読み取ることが示されていた。
新ソリューションのデモの様子。フォークリフトがカメラの前を横切ると、荷物の横に付けられたバーコードを瞬時に読み取り、データを把握する
パナソニックグループは先進技術を駆使しながら製造業や物流などの業務効率化を後押しする「現場プロセスイノベーション」を打ち出しており、フォーラムでもコンセプトを実現することを積極的にアピール。新たな入出庫効率化ソリューションもその一環と位置付けている。
パナソニックの社内カンパニー、コネクティッドソリューションズ社のモバイルソリューションズ事業部SCM事業推進部戦略推進課の里平利彦氏は「お客さまごとに庫内の大きさや取り扱う商品に応じてつくり込んでいく“カスタムメード”のサービス。専用のタグをあらためて準備するなどの手間も要しない。さまざまな倉庫の効率化をサポートしていきたい」と意気込みを示した。
サプライチェーンの広範囲でサポート
ブースではこれまでに発表しているソリューションがでそろった。2017年に買収したベルギーのシステム開発会社ゼテス・インダストリーズの技術を生かして配送の進捗状況を可視化することで運行管理者が各ドライバーや荷物を一括管理できるソリューションをアピール。配送を完了すれば荷受人から電子サインを専用端末にもらい、作業完了を関係者がリアルタイムで確認できるほか、万が一商品が配送過程で破損してもその場で本社側に画像付きで報告できるため、迅速な対応につなげられるという。
また、的確な温度管理が求められる輸送トラックの庫内温度を堅牢な業務用タブレット「TOUGHPAD(タフパッド)」に搭載のサーモカメラで撮影すれば画像の色の度合いから温度の状況がつかめる「温度センシング」や、同じく業務用タブレットの3Dカメラで写真を撮影すると荷物をスピーディーに自動測定する「空間採寸」のソリューションも展示。集荷や庫内の入荷検品といった業務の負荷軽減を実現できるとPRした。
コネクティッドソリューションズ社モバイルソリューションズ事業部マーケティングセンターの分林佑介氏は「サプライチェーンの幅広い部分でサポートが可能になっている。物流業界などの方々のご関心も昨年よりさらに高くなっていると感じている。現場プロセスイノベーションを実現するため、さまざまなイノベーションに今後も取り組みたい」と力説している。
パナソニックグループのブース
「温度センシング」ソリューションの様子。撮影した画像を基に温度の分布を色で表示する
運転席への機器搭載イメージ
(藤原秀行)