リバウンドの懸念強調、「2週間は感染拡大抑止と状況の慎重な見極めに必要」
菅義偉首相は3月5日夜、首相官邸で記者会見し、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県を対象に発令中の緊急事態宣言に関し、同7日までの期限を3月21日まで2週間延長する方針を表明した。会見に先立って関係閣僚らで開いた政府対策本部で正式決定した。
菅首相は会見で「当初お約束した3月7日までに宣言を解除できなかったことは大変申し訳なく、心よりおわび申し上げる」と陳謝。2週間の延長については「感染拡大を抑え込むと同時に状況をさらに慎重に見極めるために必要な期間だ」と説明し、感染抑制へ「飲食店の時間短縮、不要不急の外出自粛やテレワークなどの取り組みを地方自治体と連携し徹底していく」と強調した。
菅首相は緊急事態宣言について、発令した1月以降、新規感染者数が大きく減り、入院患者や重傷者も少なくなるなど「大きな効果が目に見えて現れている」と強調。「ひとえに皆様方の踏ん張りと、心を1つにして懸命に取り組んでいただいた結果だ」と感謝した。
1都3県の感染状況に関しては「ほとんどの指標が当初目指していた基準を満たしている」と指摘した。同時に、病床の使用率が依然高い地域があり、新規感染者数の減少もペースが鈍化していることなどを列挙し、「リバウンドの懸念が高まっている」と懸念を表明。「こうした点を冷静に、総合的に考慮し、内閣総理大臣として延長の判断をした」と語った。
1都3県の住民に対しては、大人数の会食を避けるなど引き続き感染防止対策の徹底を要請。コロナ対策として、高齢者施設での集中的なPCR検査を3月末までに約3万カ所で実施し感染の早期発見に努めるとともに、市中感染を迅速に探知できるよう、無症状の人を対象にしたモニタリング調査を大都市で規模を拡大して行う考えを明らかにした。
東京オリンピック・パラリンピックで海外からの観客受け入れを見送る方向で調整しているとの報道が相次いでいることに関しては「変異ウイルスの影響や国内外の感染状況を踏まえ、主催者の中で検討してもらいたい。入れる、入れないという判断はこれからだ。3月中に判断することで(国際オリンピック委員会や国際パラリンピック委員会などと)合意している」と述べるにとどめ、明言は避けた。
記者会見に先立つ政府対策本部で発言する菅首相(首相官邸ホームページより引用)
(藤原秀行)