大分・日田で実証実験、関係者間の情報共有など有効性を確認
ブルーイノベーションは3月24日、災害時に活用するドローン(無人飛行機)の離着陸設備「ドローンポート」の有効性を確認したと発表した。
大分県日田市で同23日に実証実験を行い、ドローンポートのシステムを使うことにより、被災地の詳細位置や被災地で必要な物資情報の把握、災害対策本部との情報共有、救援物資の調達に必要な申請・受理の手続き、輸送ドローンの自動運航(自動離着陸と飛行)といった諸業務の一元管理が可能となり、迅速な災害対策を後押しできることが分かったという。
同社は「災害時、道路遮断などの影響を受けないドローン輸送が必要最小限の体制・人員で実施できるようになり、救援物資輸送の迅速化と作業負担の軽減、ひいては地域住民への速やかな安全安心の提供が可能となる」と意義を説明。2022年4月以降のシステム実用化を目指す。
災害用ドローンポートシステム(ブルーイノベーション提供)
実験では大規模豪雨が発生し、土砂崩れにより道路が寸断、住民がいる避難所へトラックなどを使った救援物資輸送ができない状況を想定。新型コロナウイルスの感染拡大下で避難所運営に不可欠なマスクなどの感染対策グッズと、高齢者の体調管理のため遠隔診療端末をドローンで輸送した。
折り畳んだ状態の災害用ドローンポートシステムを被災地で展開・設置すると、付属のセンサーユニットが座標データを衛星経由でクラウドに送信し、被災地の位置情報を瞬時に関係機関と共有。そのデータから物資輸送場所(着陸地点)を正確に把握し、クラウドを介して必要物資の要請や手配、飛行計画の策定や共有、ドローンの安全運航に関わる風速情報や着陸地点周辺の安全状況の把握など、ドローンの飛行準備段階で発生する一連のオペレーションを同システムで実施した。
物資輸送拠点から自動離陸したドローンの運航状況の取得・監視、異常発生時の緊急停止措置や人による操作介入、ドローンポートによる自動着陸誘導、着地点の安全を高精度に自動確認する侵入検知センサー、テザー機構による物資の吊り下げ、物質輸送拠点への自動帰投など、ドローンの自動飛行や自動離着陸、安全運航に関わる項目も併せて検証した。
さらに、避難者の多くは高齢者のため、避難中のけがや避難所滞在中の体調ケアへの対応を目指し、ドローンで輸送した遠隔診療システムを用いて、地元医院の医師による遠隔診療を行った。
(藤原秀行)※イメージ写真もブルーイノベーション提供