CBRE1~3月調査、「今後は物件で稼働率に差」と指摘
シービーアールイー(CBRE)が4月28日発表した主要エリアの大規模マルチテナント型物流施設の市場動向調査結果によると、今年第1四半期(1~3月)の近畿圏における空室率は1・9%で、前期(2020年10~12月)から1・8ポイント下がった。3四半期続けて前期の水準を下回った。近畿圏で2%を下回るのは16年4~6月以来、4年9カ月ぶり。
今期に完成した2棟のうち1棟が満床で稼働したほか、湾岸部で既存物件の空室消化が進んだ。向こう2四半期の供給予定物件のうち複数で1棟借りが内定しており、空室率は低い状態が続くとみている。
ただ、CBREは同時に「新型コロナウイルスの感染拡大の影響で業績が低迷している企業もあり、既存物件で空室や転貸区画の募集が出てきている。(需要が旺盛な)内陸部といえどもリーシングの進捗ペースは落ちてきており、今後は物件の競争力見合いで稼働率に格差が出てくるだろう」と展望した。
1坪当たりの実質賃料は4020円で横ばいだった。「過去2年間で13%上昇していることや業績見通しに不安が出ていることから、テナントは新規の契約に慎重になっており、上昇は抑えられている」(CBRE)という。
近畿圏の需給バランス推移(CBRE資料より引用)
中部圏は再び空室率低下、「テナントに動き」
中部圏の空室率は1・7ポイント下がって8・6%だった。20年10~12月は6四半期ぶりに上昇したが、再び下落に転じた。今期は新規供給がなかったものの、前期に竣工した物件で空室の一部が埋まったためという。
CBREは「移転元のスペースも後継テナントが決定するなど、テナントに動きが見られるようになってきた。22年は約17万坪の大量供給を控えているため、オーナー側のテナント誘致活動も活発になってきている」と分析している。
実質賃料は3590円で、4四半期連続の横ばいだった。
調査対象は近畿圏が大阪、兵庫、京都を中心に延べ床面積1万坪以上の52棟、中部圏が愛知を中心に5000坪以上の28棟。
中部圏の需給バランス推移(CBRE資料より引用)
(藤原秀行)