現地のエネルギー大手に納車
三菱ふそうトラック・バスは7月20日、小型電気トラック(EV)「eCanter(eキャンター)」をニュージーランド市場に投入すると発表した。同社グループ製品の輸入と現地販売を統括している同国の現地法人、FUSOニュージーランドを通じて販売を開始した。
eCanterは今日の都市が抱える騒音や排出ガス、CO2低減の課題解決策として、三菱ふそうが開発した量産型EVの小型トラック。車両総重量7・5トンクラス、急速充電では最大約1・5時間、普通充電では最大約11時間の充電で、航続距離は約100キロメートルを確保している。電気駆動システムには、モーター(最大出力135キロワット、最大トルク390ニュートンメートル)と、370ボルト、13・5キロワット時の高電圧リチウムイオンバッテリーパックを6個搭載。2020年8月には安全装備を拡充した新型モデルを発売したほか、車両ラインアップの拡充を含む次世代モデルの開発にも取り組んでいる。
ニュージーランド向けモデルは、ポルトガルのトラマガル工場から完成車として輸出され、日本や欧州で販売されているモデルと同じ標準仕様を備えている。また、安全な走行をサポートするため、車両安定性制御装置「Electronic Stability Program=ESP」に加え、衝突被害軽減ブレーキ「Advanced Emergency Braking System=AEBS」や車線逸脱警報装置「Lane Departure Warning System= LDWS」などの先進安全機能を搭載。
7月12日、ニュージーランドのエネルギー大手ジェネシス・エナジーにeCanterを1台納車。同社は現在約110台のトラックを国内の流通やカスタマーサービス業務のために運用している。25年までに使用する車両の半分をEVに切り替える目標を掲げており、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の走行を実現するeCanterなどの導入により、排気ガス削減に努める。
また今春、FUSOニュージーランドは、同国のエネルギー資源大臣およびエネルギー効率・保全局(Energy Efficiency and Conservation Authority)からeCanter運用試験のための助成金を受給。以来、5台のeCanterがオークランド市内に配備され、現地物流事業者による1年間の実証試験が行われている。
低排出ガス交通プロジェクトを支援する目的で設置されたこの助成金は、同国政府の低排出ガス車両競合基金(Low Emission Vehicle Contestable Fund)が拠出。当初、年間総額600万~700万NZドルとされていた助成金の規模も年間2500万NZドルまで拡大されるなど、ニュージーランドの脱炭素に向けた動きはさらに加速している。
三菱ふそうは各国政府が自動車の電動化への投資を強化する中、eCanterの存在感が今後も増していくことを期待している。
(画像はプレスリリースより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)