ECが生鮮野菜の生産から販売までを手掛ける新たな農業モデルに
中国EC大手の京東集団と三菱ケミカルは12月7日、北京市内で建設を進めていた植物工場が完成・稼働を開始したと発表した。
三菱ケミカルの栽培技術や工場ノウハウなどを駆使した中国最大級の施設で、京東はEC事業者が生鮮野菜の生産・販売・配送に至るサプライチェーン全てに関わる新しい農業モデルを実現・追求していく。また両社は今後も植物工場事業で協力関係を継続する戦略的パートナーシップ契約を締結した。
同工場は1万1040平方メートルの面積を有し、人工光による育苗以外は太陽光を利用して効率的に生産を行う併用型水耕栽培システムを採用。温度・湿度・光・液肥などを自動制御することで、季節や天候に関係なく高品質かつ安定的に野菜を生産できる。
肥料養液を循環利用して従来の農業と比べて大幅に少ない水、肥料で栽培。一例としてホウレンソウの年間収穫回数は屋外(畑)4回、温室 6 回から2倍以上に増えるなど節水と生産性を両立する。現在ホウレンソウやレタス、サラダ菜などを生産しており、月内には京東が中国で展開するスーパーマーケットで販売を開始する。両社は今後トマト、キュウリ、イチゴなど多様な野菜・果物の生産についても検討していく。
京東は植物工場、コールドチェーン、ECのプラットフォーム統合によって、安全で高品質な生鮮野菜を収穫当日に消費者へ供給。農業のみならずライフスタイルでも健康的な全く新しいモデルの構築を目指す。三菱ケミカルは引き続き技術向上を図ることで京東の取り組みを支援する意向。両社は生産・倉庫管理・流通・販売における新しいモデルを探求すべく緊密に協力していく方針だ。
(鳥羽俊一)
三菱ケミカル 佐々木等常務(左)と京東集団 王笑松FMCG事業・食品事業総裁(右)※画像は全て三菱ケミカルウェブサイトより