日清製粉ウェルナとグリッドがAI活用した冷凍食品の需給管理自動化システム開発、月50時間の業務削減

日清製粉ウェルナとグリッドがAI活用した冷凍食品の需給管理自動化システム開発、月50時間の業務削減

多様な商品の生産・配送計画策定が迅速に

日清製粉グループでパスタやパスタソースの製造・販売などを手掛ける日清製粉ウェルナとAIを用いたシステムの開発・販売などを担うグリッドは2月4日、AIを活用した「冷凍食品の需給管理自動化システム」を共同で開発、2024年10月に運用を開始したと発表した。

新システムの導入で、日清製粉ウェルナはさまざまな商品の生産や配送の計画を策定する時間の大幅な短縮やオペレーションの効率化が可能となったほか、ノウハウの標準化によって業務の属人化と担当者不在時のリスクを解消。従来の緊急対応時におけるオペレーションリスクが低減し、より安定した製品供給を実現したという。

 
 


システム開発の効果

日清製粉ウェルナの工場では、受注や出荷、在庫などのさまざまな情報を基に、計画的に冷凍食品を生産している。また、完成品は各地の倉庫を経由して店舗に納品されており、需要や各倉庫の在庫の状況に応じて、ある倉庫から別の倉庫に製品を「転送」して安定的に製品を供給できるよう努めている。

これまでは冷凍食品の需給管理と配送に関する各計画の立案を専門の担当者が担っていたが、各計画予測の組み合わせは約1800パターンにも及び、担当者に大きな負担が掛かっていた。

そこで両社の得意分野を組み合わせ、需給管理の自動化システム開発に踏み切った。今回開発したシステムは需給計画(製造計画)および在庫転送計画の自動策定が可能になった。

管理自動化システムはまず、過去の出荷実績と受注実績から月次の販売数量の着地見込表を作成し、その見込表と現在の在庫数・工場の稼働スケジュールに従った需給計画を取りまとめる。

次に、各倉庫への配車依頼台数を決定する配車計画、さらに倉庫間の在庫移動数を決定する在庫転送計画を決める。必要な配車台数は在庫状況に応じて随時更新し、どの製品を、どの倉庫からどの倉庫へ、何ケース送るかをシステムが自動計算する。

 
 

従来、各計画の策定には3日程度必要だったが、新システム採用で、1日程度に短縮。日々の在庫転送明細作成時間も約2時間から約45分に縮めることができた。合計で月間50時間程度の業務時間削減を実現した。

新システムが立案した計画は、担当者が使い慣れた形式で出力し、日々の状況変化に応じて担当者自身による書き換え(修正)が可能。意図的に人間の介在余地を残したことにより、急な需要の変動などのイレギュラーな事象にも柔軟に対応できるよう工夫している。


需給計画と在庫転送計画の自動策定イメージ(いずれも両社提供)

(藤原秀行)

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