東商が初の提言、ホワイト物流運動の推進なども要望
東京商工会議所は10月14日、流通・サービス委員会(委員長・大島博副会頭、千疋屋総本店社長)が取りまとめた「中小流通・サービス業の生産性向上と新たな価値創造に向けた提言」を公表した。東商が中小流通・サービス業の課題解決に特化した提言を行うのは初めてという。
提言は長引く新型コロナウイルスの禍から日本経済が復活するためには中小・小規模企業の生産性向上が不可欠で、特に国内GDP(国内総生産)と雇用の約7割を占める流通・サービス産業の底上げが重要と指摘。「コロナ禍を好機と捉え、デジタルシフトとパートナーシップ構築を今こそ推進し、恒常的課題であるサプライチェーン全体の付加価値向上を図ることが極めて重要」との見解を示した。
実現に向け、「商流」「情報流」「物流」の3領域で整流化を図る方向性を提示。それぞれ、企業の社会的責任・持続的な成長に向けたパートナーシップの強化、新たな消費構造の変化を踏まえたデジタルシフトの加速、物流の効率化・標準化に向けた荷主企業との連携による諸課題の克服を進めるよう求めた。
この中で物流については、ドライバーの高齢化などによる人手不足、多頻度小口配送の増加などによる積載率低下、荷待ち時間や手荷役などによる長時間労働といった課題を列挙。「こうした状況は荷主企業にとってもマイナスであり、取引構造全体で解決していくことが急務。中長期的には生産性向上の観点から標準化が望まれる」との見解を表明した。
具体策として、「ホワイト物流」推進運動の継続、標準化の促進、コスト負担の適正化などを打ち出した。物流EDIなど取引のデジタル化を進め、業界間や企業間のデータ標準化を官民が連携して強力に推し進めることなども提唱した。
さらに、「従来型のクローズドな専用物流ネットワークや、コストをサプライヤーに転嫁する『配送無料化』などのビジネスモデルから、物流ネットワーク(物流拠点と輸送能力)のオープンシェアリング(共同化)を図っていくことが重要」と強調。「地域共同配送プラットフォーム」の形成を求めた。
(藤原秀行)