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【独自】21年は「ドローン災害活躍元年」実現、物資輸送でも活用促進へルール整備を

【独自】21年は「ドローン災害活躍元年」実現、物資輸送でも活用促進へルール整備を

JUIDA・鈴木理事長単独インタビュー(前編)

日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長(東京大学名誉教授、東京大未来ビジョン研究センター特任教授)はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

鈴木氏は、2021年は地震や台風に見舞われた際に上空から被害状況を確認するなど、災害時にドローンを使う動きが広がり「災害活躍元年」になったと評価。今後は救援物資などの輸送面でも活用されるよう、引き続きルールを早急に整備していく必要性を強調した。

また、岸田文雄首相が「デジタル田園都市国家構想」を推進しているのを踏まえ、今後は全国各地の自治体でドローンを住民サービス向上などに使う取り組みが拡大していくと展望した。

インタビュー内容を全3回に分けて紹介する。


鈴木理事長(2019年撮影)

ドローン物流は着実に実用化へ進展

――2021年はドローン利用がさらに進んだ1年のように感じます。JUIDAの活動を振り返ってみてどのようにお感じですか。
「例えば、JUIDAの認定スクールは新型コロナウイルスの感染拡大もあって申し込みが減るかなという懸念があったのですが、活発に問い合わせがあり、スクールの数自体が増えている上、会員は過去最高の約1万8000人に上りました。私自身ちょっと驚いているくらいです。ドローンに関する国際的な展示会『JapanDrone』も昨年は6月に開催し、どうしても実際の会場に来場された方が減っているのは致し方ないところではあるのですが、来場されたりリモートで参加されたりした方々からは、BtoBの展示会にかなり特化していますので、具体的な商談につながりそうだとか、パートナー企業を探すことができるといった評価をいただいています。スタートアップ企業の方々が積極的に出展していただくなど、新しい動きが出てきた部分もあったのかなと思います」

「JUIDAは国際交流を進めており、コロナ禍で海外の方が日本にお越しいただくのは難しかったのですが、各国のドローンに関するイベントへリモートでJUIDAを招待していただいたり、われわれも海外の方々からビデオメッセージを頂戴したりと引き続き活発に取り組んでいます。MOU(協力協定)を結んでいる各国のドローン関係団体の数も増えてきました。JUIDAとして日本国内で活動内容などに関するニュースレターを出していますが、海外版も作成し、MOUを結んだ団体を通じて日本の状況を海外に発信しています。ポストコロナになってくれば、これまでに構築してきた新しいつながりが役に立つのではないかと思います」

――ドローン物流についても、かなり取り組みが広がっていますね。
「仰る通り、実証実験が各地で本格的に行われています。先日もJAL(日本航空)の本社に、たまたま別の用事で伺ったのですが、ちょうど長崎県の離島でヤマハ発動機の無人ヘリコプターを使い、現地で採れた鮮魚を空港まで輸送してJALが空輸、東京都内の飲食店へ当日中に届ける実証実験をされていました。JALの本社から無人ヘリの機体をモニターし、海上を飛ぶ間は全て遠隔操作されていました。そうした先進的なことが行われるようになってきて、非常に大きな進歩を遂げています。実用化へ着実に動きが広がっていますね」

――昨年のJapanDroneを取材した際にも感じましたが、最近は人口減少などの課題を抱える地方自治体の間で、ドローンを使おうとする機運が高まっているように思えます。岸田文雄首相が公約に掲げている、地方からデジタル技術の実装を広げていく「デジタル田園都市国家構想」も追い風になりそうです。今後の展開はどのように予想されていますか。
「さらに加速されると思っています。昨年のJapanDroneのパネルディスカッションには大分、兵庫、三重、福島、北海道の各道県のご担当の方々が生活物資輸送や鳥獣被害防止、森林調査などにドローンを投入する先駆的な取り組みをご紹介されました。今後はどの県でもドローンが活用されるようになってくる流れになるのではないでしょうか。ご指摘の通り、ちょうど岸田内閣がデジタル田園都市国家構想を打ち上げられていますが、ドローンはまさにそういった地方活性化のためのデジタル技術導入の文脈に合致します」

――以前からドローンのセキュリティ強化が課題と指摘されています。昨年に対策は進んだとお感じになりますか。
「そうですね。国の方でもセキュリティの基準を満たす安全なドローンを開発しようと取り組まれています。国内のサーバーを使ってデータが海外に流出するようなことが起きないようにするなど、セキュリティに配慮したドローンを国内で使っていこうという方針を出されており、特に政府や自治体による公共的な利用に関し、セキュリティレベルの高いものを使っていくという動きがさらに出てくると思います」

国の操縦ライセンス整備に協力

――ドローンに関しては昨今、大規模な台風や地震といった自然災害が相次いでいる状況を受け、災害時の物資輸送などへの活用が期待されています。
「国の防災基本計画にもドローンを情報収集に使うということを明記していただきました。総務省消防庁の中で実際にドローンを導入し、災害時に使えるようにしていこうとの動きがあります。さらに、JUIDAは19年に陸上自衛隊東部方面隊と大規模な災害発生時のドローンを活用した救助活動の応援に関する協定を締結し、自衛隊の中でドローンの操縦ができる人を養成する面で支援させていただいています。有事には民間のドローンパイロットの方に協力をいただく連携も前から行っており、昨年は静岡県熱海市の土砂災害の際、自治体から要請を受け、地元を中心としたドローンスクールの関係者で協力していただける方を募り、実際に被害状況の把握や被災者の捜索に参加しました」

――鈴木理事長は昨年の年頭記者会見で、2021年は「ドローン災害活躍元年」を目指す考えを示していました。まさにその通りになったと表現しても過言ではないでしょうか?
「そう思いますね。災害時の状況把握という点でドローンが普通に使われるようになってきたのかなと感じています。それは夏が豪雨、冬は豪雪といったように今までにない厳しい自然環境に置かれているということですから、非常に残念なことでもあるのですが、現在の状況下ではドローンがさらに活用できる部分があるのではないか。昨年にも起きていましたが、豪雪で高速道路が長距離にわたって渋滞してしまい動けなくなった時にドローンで食料などを届けるというようなこともできるはずです。ドローンを用いた緊急物資や食料の輸送が日常的に行えるようになればいいですね」

「ただ、ドローンがたくさん飛ぶようになると逆に、ドローン同士が接触するんじゃないか、有人のヘリコプターが降下する時に妨害してしまうんじゃないかといった心配も出てきます。被災地でドローンを使う際のきちんとしたルールを作っていかなければいけないという懸念事項が表面化してきたのも事実です。現在はJUIDAではないのですが、福島県南相馬市のロボットテストフィールドと連携し、ドローンの運航管理などを手掛ける日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)を中心に、災害時にドローンを使う際の航空空域や電波の管理などに関するガイドライン作りを進めているところです」

――22年はJUIDAとしてどういった領域に注力されますか。
「JUIDAはドローン産業の振興がそもそもの設立の趣旨です。そのためには人材が必要だということで認定スクール制度を立ち上げ、全国にスクールを広げてきました。政府は新たにドローンを安全に操縦できる技能や知識を有していると認める『技能証明制度(操縦ライセンス)』を創設する予定です。今は官民が連携して操縦ライセンスの具体的な内容を検討しているところです。今後も認定スクールが政府のライセンスを補うような形で技能向上などに貢献していくことが必要になってくるでしょう。JUIDAとしても求められる役割は大きいと考えています」

――政府は22年中をめどに、ドローンが市街地上空で目視外飛行をする「レベル4」を解禁し、物流などへのドローン利用を後押しする方向です。JUIDAとしても、さらに物流でのドローン活用を促進していきますか。
「レベル4解禁で、都市部でピザを注文するとドローンが自宅まで運んでくれるといったように、すぐにドローン物流が実現すると考えておられる方もいらっしゃると思いますが、それはまだ現時点ではちょっとSF的な発想です。まずは離島や中山間地などでドローンが物の輸送に活躍する、さらに効率良く物を運べるようになってくることが第一歩でしょう。物流だけではなく、例えば従来は人が行っていた山中の送電線や携帯電話基地局の点検の際、物資輸送などにドローンを使おうという動きもあります。そうしたところから、着実に物流面を含めたドローンの活用が広がっていくでしょう」

――今年はドローンの「何元年」になると御覧になっていますか。
「それはもうすぐ発表いたしますので、楽しみにしていてください(笑)」

(藤原秀行)

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