レボーンや長崎大、加賀電子、三井住友海上などが呼気のにおい活用した「飲酒運転撲滅プロジェクト」始動

レボーンや長崎大、加賀電子、三井住友海上などが呼気のにおい活用した「飲酒運転撲滅プロジェクト」始動

精緻なシステム開発、飲んだ酒の種類や経過時間推測目指す

AIを活用したにおいの問題解決に取り組むレボーン(REVORN、東京都渋谷区北青山)は3月31日、長崎大学や加賀電子、加賀ソルネット、三井住友海上火災保険と共同で、飲酒時の呼気を精緻に分析・判断するシステムを活用した「飲酒運転撲滅プロジェクト」を開始すると発表した。

現在、酒気帯び運転を疑い行う呼気検査に使用されているアルコール検知センサーは、呼気に含まれる酸素量の変化を検知する「半導体式ガスセンサー」、呼気に含まれるアルコールの量を検知する「電気化学式(燃料電池式)センサー」が使用されており、双方とも呼気に含まれるアルコール量を検知するもので、酒であるかは判別していない。

共同研究プロジェクトは一般的に飲まれている多くの種類の酒のにおいを呼気から取得し、においがどのように変化していくか、時系列でデータを取得。呼気に含まれるにおいからビールや焼酎、ウィスキーなど「酒の種類」を判別し、飲酒後の経過時間まで推測できるようにすることを目指す。


(レボーン提供)

航空、鉄道、タクシー業などの輸送業界で操縦・運転を伴う職務に従事する場合、始業前の呼気によるアルコール検査が義務付けられている。しかし、一部で虚偽報告が行われるなど、アルコールの影響に起因する業務上の事故がなかなか絶えなかった。

加えて、警察が酒気帯び運転を疑った場合に行う呼気検査でも、酒以外の微量なアルコールを含む食べ物、飲み物や口腔ケア製品の影響によりアルコールが検出されるケースが発生している。

4月1日に改正道路交通法施行規則が一部施行され、自動車を使用する事業所で安全運転管理者の選任が義務化された上、安全運転管理者は運転者の運転前後にアルコールチェックをするよう定められた。10月1日からはより厳格化し、アルコール検知器を用いて確認を行うことや常時有効に保持することが義務付けられる。

レボーンなどは課題を解決する上で現行の吸気検査より精緻な検査が可能となるシステムの開発と新たな管理体制の構築が必要とみて、共同研究プロジェクトを立ち上げた。実用性を高めた携帯しやすい小型のセンサーの開発に取り組み、センサーやスマートフォンなどのアプリを介してレボーンのクラウド上にリアルタイムで呼気データを送信、飲酒しているかどうかを判定することを想定している。

プロジェクトで得たデータから新たに開発する小型のセンサーと、現在検知に使われているアルコール検知センサーを併用し、より精度の高い飲酒運転検知システムの開発・実用化を図る。

(藤原秀行)

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