独キール世界経済研究所、経済制裁が影響と分析
ドイツの大手シンクタンク、キール世界経済研究所は4月6日、世界の貿易取引額に関する指数を公表した。
3月は世界全体で前月から2.8%減少したと推計。ロシアのウクライナ侵攻に伴い、欧米や日本などがロシアに経済制裁を実施していることが影響していると分析している。
同研究所は、世界中で出荷された全商品の約12%で物流が停滞していると仮定している。
指数は世界500の港における船舶が出入りした回数などのデータをAIで分析し、世界75カ国とEU(欧州連合)、世界貿易全体の取引額をそれぞれ推定。月2回データを更新している。
地域別に見ると、ロシアは輸出が5.0%、輸入が9.7%それぞれ減少したと指摘。ロシアの3大港のサンクトペテルブルク、ウラジオストック、ノボロシスクはコンテナ貨物の輸送量が半分に落ち込んだとみている。
他の地域でもドイツは輸出が3.7%減、輸入が3.2%減、EUがそれぞれ5.6%減と3.4%減、米国が3.4%減と0.6%減で、軒並み不調を予想。
一方、中国は輸出が0.9%減だが、輸入は0.9%増と想定している。新型コロナウイルスの感染拡大による上海のロックダウンはまだ明確には影響が出ていない。
同研究所は「西側による制裁は明らかに効果があり、ロシアでは海外からの商品供給がますます不足している。欧州の企業と海運会社は明確に海上輸送を制限している」と指摘した。
(藤原秀行)