武田薬品工業と三菱倉庫、ブロックチェーン技術使い医薬品の流通過程で温度・位置情報可視化へ

武田薬品工業と三菱倉庫、ブロックチェーン技術使い医薬品の流通過程で温度・位置情報可視化へ

関係者間で共有、劣化などトラブル回避図る

武田薬品工業と三菱倉庫は5月31日、ブロックチェーン技術を活用し、一部製品を対象に、工場出荷から医薬品卸倉庫への納品までの製品の温度・位置情報を可視化する取り組みを5月に開始したと発表した。

医薬品の流通では近年、高い水準の品質保証を維持し、劣化や破壊などのトラブルがないよう業務の画一性を推進することが強く求められており、医薬品の適正流通(GDP=Good Distribution Practice)ガイドラインでも具体的な方法を定めている。

両社はサプライチェーン上の温度ならびに位置情報を可視化し、流通過程で連携する様々な事業者間で共有することでより安心かつ安全な医薬品流通体制を築くことを目指し、基盤となる仕組みの構想・策定に取り組んできた。三菱倉庫が新たなデータ管理システム「ML Chain」を開発し、1月以降、武田薬品の物流センターから医薬品卸倉庫までの国内の流通経路で、全製品を対象に運用してきた。

同システムは米IBMのブロックチェーン技術を採用。データの完全性と安全性を保持しながら、医薬品流通過程の各種情報を可視化し、輸送に関わる事業者間でリアルタイムに共有することが可能になった。さらに5月から、一部製品については、製品を製造する武田薬品の光工場(山口県光市)から武田薬品の物流センター、医薬品卸倉庫への配送で運用を始めた。

将来は他社にも開かれたオープンなプラットフォームとして運営することで流通品質管理向上にとどまらず、偽造医薬品対策や在庫レベルの適正化、安定的供給の維持など、業界全体として医薬品流通の高度化に貢献すると考えており、より普及を図る構え。

(藤原秀行)

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