認知度向上、意識して進めていきたいとあらためて意欲
日本物流団体連合会(物流連)の池田潤一会長(商船三井会長)は6月27日、東京都内で開いた定時総会後の記者会見で、会長2年目の抱負として、新型コロナウイルス感染拡大やロシアのウクライナ侵攻といった事態が響き米国西海岸の港湾などで国際物流の混乱が続いていることに関し「物流連としてできることは限られるとは思うが、海陸空のいろんな課題を共有しながら、物流の目詰まり解消へ積極的に提言できればいいんじゃないかと思っている」と語った。
また、以前より活動のテーマの1つに掲げている、物流の持つ社会的意義の認知度向上に関し「今や目詰まりを起こしているという意味で、物流が非常に皆さんに知られつつある。きっかけとしてはあまり良くないかもしれないが、物流の重要性、経済においてなくてはならないものだという認識を持っていただくことを、物流連会長として意識して進めていきたい」と述べ、あらためて意欲を示した。
会見する池田会長
池田会長は、国際物流の混乱に関し「長いこと外航海運に携わる者として、ご迷惑をお掛けして忸怩たる思いを感じている」との思いを吐露。収束の時期に関しては「輸送量、貨物量そのものが落ち着いてこないとなかなか収束しないだろうと感じている」との見方を示し、正常化には時間を要すると展望した。
物流連として業界全体の脱炭素への取り組みをどう進めるかとの質問に対しては、具体的な温室効果ガス排出削減目標を物流連として設定するのは、所属している物流企業の業態が幅広いことなどから「統一的な目標はちょっとなじまない」と指摘。「物流業界全体でカーボンニュートラルに向けて取り組むのは共通するプラクティスがある。そういう意味では情報交換をさらに緊密に行い、業界それぞれの事情はあるが社会の要請にしっかり応えていくための物流連の活動にしていきたい」と力説した。
物流業界の課題であり続けている運賃・料金の適正化については、EC事業者らの間で「配送料無料」の表現が定着している点を受け、個人的な考えと前置きした上で「マーケティングなり営業としては割と広く受け入れられている手法だが、ぼかしてはいけないと思う。物流があり、しっかりとしたサービスを提供するために適正な料金をいただくことで安定的かつ満足していただける物流、配送が初めて可能になる」と強調。
「物流の認知度を高める活動を進める中でご理解いただけるようにしたい」と語った。
(藤原秀行)