IHIエアロスペースが展示会出展、23年度中の発売目指す
IHIグループでロケット関連機器などの開発・製造を手掛けるIHIエアロスペースは7月20日、東京都江東区有明の東京ビッグサイトで開幕した「第8回国際ドローン展」で、重量物の積載と長時間飛行の両立を可能にした大型ドローン「i-Gryphon(グリフォン)」の試作2号機を初めて公開した。
「i-Gryphon」はガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを採用。複数のプロペラを持つマルチコプター型としては最大となる最大積載量40キログラム、最大飛行時間70分を見込んでいる。現状のドローンは積載量が数キログラム、飛行時間も1回当たり10分程度といったものが多いため、実用化されれば物流などの領域で活用が広がりそうだ。
公開された試作2号機
機体のサイズは全長と全幅が3.18メートル、全高が1.2メートル。試作機は全体が黒色で、昆虫の王様・カブトムシを思わせるような重厚な雰囲気を醸し出している。高画質で10倍ズームが可能な可視光カメラと赤外線カメラも備えている。航続距離は50キロメートル、巡航速度は無風時で時速60キロメートルと設定している。
用途としては工事現場や山間部の電力インフラ整備場所への資材輸送、災害発生時の緊急支援物資運搬、離島への医薬品配送などが考えられる。現在、PoC(概念実証)を繰り返すなど、実用化に向けた取り組みを進めており、2023年度中の発売を目指している。
カーボンニュートラル(温室効果ガス排出の実質ゼロ)の達成が物流領域でも強く求められるようになってきたことから、将来はバッテリーに水素燃料電池を採用することも視野に入ってきそうだ。
(藤原秀行)