来年4月に実証実験へ
化石燃料を用いたエンジンの水素化技術開発を手掛けるiLabo(アイラボ、東京都中央区銀座)は7月26日、日本政策金融公庫から資本性ローンの資金調達を実施したと発表した。具体的な調達額は開示していない。
研究開発などの必要なリソースへの投資を加速し、既存ディーゼルエンジンの水素エンジン化「水素化コンバージョン」技術の開発を促進、水素社会の早期実現を目指す。
(iLabo提供)
iLaboは早期の水素社会の実現を目的とし、環境省より受託を受け、既存の軽油で走行するディーゼルエンジントラックを、水素燃料で走行する水素エンジントラックに改造する水素化コンバージョン技術の開発を進めている。来年4月には水素エンジントラックの貨物輸送を通して、安全性・実用性・経済性の実証実験を行う予定。
一連のプロジェクトでは、乗用車と比較して稼働率が高く水素需要の拡大が見込める商用トラックへの水素化コンバージョンの実施とともに、主にトラックターミナルに設置するBtoB型水素ステーションの経済性評価を含む実行可能性調査を実施する。
iLaboは登録台数約70万台と推定される、物流業界を中心に利用される総重量8トンクラスの重量車をターゲットとした水素化コンバージョンをはじめ、当該技術を発電機・船舶・重機・建機などに利用されるエンジンへの応用も含め、CO2排出量の削減と水素需要の拡大をもたらし、早期のカーボンニュートラルの達成を目指す。
また、国内の9万以上に及ぶ自動車整備工場に水素化コンバージョン技術を提供することで、日本の強みであるエンジン製造に携わる雇用の維持と、整備事業の発展に貢献したい考え。
(藤原秀行)