原資確保へ120億円規模の資金調達を検討
山九が物流や化学プラント保全などの主力事業で協力企業の資金繰りを支援するため、近く手形やファクタリング(売掛債権の買い取り)を使った代金支払いを取りやめ、全て現金払いに移行する準備を進めていることが分かった。
新型コロナウイルスの感染拡大による経済の混乱や燃油高騰など、経営環境が厳しい現状を踏まえ、協力企業との関係を強化し、自社の物流網を維持する狙いがある。協力企業にとっても、資金繰りのめどを立てやすくなり、経営の安定化につながる効果が見込まれる。
関係筋によると、現金支払いへの移行に伴う原資を確保するため、9月中にも主要取引銀行を軸に120億円規模の資金を調達する方向で調整しているもようだ。調達に際しては、ESG(環境・社会・企業統治)領域への投資を対象としたローンを利用することなどを検討しているとみられる。
対象は物流や化学プラント保全で取引関係のある中小企業など1万社超になる見通し。
山九は2020年9月、取引先との共存共栄に努める方針を明示した「パートナーシップ構築宣言」を公表。下請け代金を可能な限り現金で支払うことなどを打ち出していた。経営環境が厳しくなっていることを考慮し、より踏み込んだ対応を取ることにしたとみられる。
(藤原秀行)