脱炭素促進、「30年に10%置き換え」の国交省目標達成に貢献目指す
伊藤忠商事は11月7日、日本航空(JAL)にフィンランドの再生可能エネルギー大手ネステが製造する、環境負荷が低い持続可能な石油代替航空燃料(Sustainable Aviation Fuel=SAF)を供給すると発表した。
JALが11月18日に東京(羽田)~沖縄(那覇)線で運航予定の“サステナブルチャーターフライト”の燃料としてSAFを供給する予定。伊藤忠商事とJALは併せて、2023年度のSAF供給に向けた協議を行うための覚書も締結した。
(プレスリリースより引用)
国際民間航空機関(ICAO)総会で、航空機が排出するCO2を2050年までに実質ゼロとする目標を掲げており、24年以降は19年比で排出量を15%削減もしくはオフセット(相殺)することが求められるなど、航空業界の脱炭素化の動きはより一層加速しており、今後は国内でもSAFの流通量が増えると見込まれている。
伊藤忠はJALへのSAF供給を開始することで、30年に航空燃料全体の10%をSAFに置き換えるという国土交通省航空局の目標実現にも大きく寄与できると見込む。
ネステは世界最大のリニューアブル(再生可能)燃料メーカーとして、SAFの世界展開を拡大。シンガポール工場の拡張、およびオランダ工場の改修で全世界における年間生産量は23年末までに150万トン、26年上期までに220万トンの規模とする計画。
伊藤忠はネステと22年2月にBranded Distribution Marketing Agreementを締結しており、パートナーシップに基づきSAFの日本国内の安定供給に取り組んでいる。既に羽田空港と成田国際空港でSAF輸入・品質管理から空港搬入までの国内サプライチェーンを構築し、航空機渡し条件での給油網を確立。今後はSAFの供給拠点を中部国際空港(22年度予定)や関西国際空港(23年度前半予定)にも広げ、国内外の航空会社向けにSAF供給を拡大していく方針。
(藤原秀行)