三井物産、大型トラックの無人自動運転活用した物流事業参入を準備

三井物産、大型トラックの無人自動運転活用した物流事業参入を準備

「レベル4」解禁にらみプリファードNと合弁、26年度にも東京~大阪間で幹線輸送開始目指す

三井物産は、大型トラックの無人自動運転を活用した物流事業への参入を目指している。今年8月、AI開発を手掛けるベンチャーのPreferred Networks(プリファードネットワークス、東京都千代田区大手町)と合弁で同事業を担う新会社「T2」(千葉県市川市)を設立した。2026年度にも東京~大阪間の幹線輸送で事業を始め、他の主要都市間の輸送も随時手掛けていきたい考えだ。

今年4月、特定の条件下で車の運転を完全に自動化する「レベル4」を解禁する改正道路交通法が成立し、2023年4月1日に新たな許可制度がスタートする予定。トラック運送はドライバー不足が深刻化し、今後も抜本的な改善が見込みづらいだけに、三井物産はレベル4のスタートをにらんで自動運転技術を確立し、運送業務の効率化に貢献したい考えだ。

T2は資本金25億円で、三井物産が8割、プリファードネットワークスが2割を出資した。大型トラックの無人自動運転実用化に向け、11月からまず乗用車を使い、公道走行の実証実験を展開。車両にはトラブル発生に備えてドライバーが乗り込むため、レベル4の本格開始前でも公道を走ることが可能という。

無人自動運転には、プリファードネットワークスがトヨタ自動車と共同で研究してきた空間認識技術を採用する構想を進めている。車両に搭載したセンサーやカメラ、レーダーなどを駆使し、路面や周囲の車両の状況、障害物の有無などを自動的に把握できるようにする。

三井物産とプリファードネットワークスは今後、T2を主体として大型トラックの無人自動運転の実用化を加速させることを視野に入れている。物流企業や通信事業者、各種機器メーカーなどにもプロジェクトへの参加を呼び掛けていく方針。

国内ではいすゞ自動車グループのUDトラックスが2019年、北海道斜里町で日本通運などと組み、レベル4自動運転の実証実験を展開。今年中をめどに神戸製鋼の製鉄所敷地内でも同じく実験することを計画している。政府も官民が連携し、隊列を組んだトラックの高速道路上の自動運転を早期に実現することを目指している。

(藤原秀行)

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