“流山プロジェクト”は全棟が満床稼働の快挙に
日本GLPは3月5日、千葉県流山市で建設工事を進めていたマルチテナント型大規模物流施設「GLP流山Ⅲ」の竣工式を行った。同じ敷地内には「GLP流山Ⅰ」(2018年2月完成)と「GLP流山Ⅱ」(同5月完成)が稼働しており、今回で同社が推進してきた一連の“流山プロジェクト”は大きな節目を迎えたことになる。
「GLP流山Ⅲ」は地上4階建て、延べ床面積8万9385平方メートル。常磐道・流山ICから約1キロメートル、三郷ICからは約6キロメートルに位置するほか、外環道と首都高への接続性にも優れる。
1フロア当たりの床面積は約2万平方メートル。ランプウェーで1階と3階にアクセスすることができ、2層使用によるスケールメリットを生かしたオペレーションが行える点が特徴。接車バースのシャッター高は4.5メートルを標準としているが、各フロアにウイング車が開閉を行える5.2メートルのオーバースライダー1基を設置している。施設の設計・施工はJFEシビルが担当した。
左から「GLP流山II」、「GLP流山I」、「GLP流山III」(日本GLPウェブサイトより)
機能面ではこれまでのマルチ型物流施設が持ち合わせていなかった生産加工、保管、流通加工、配送に至る工程を網羅する複合型・次世代型施設として開発。テナントには3~4階を総合物流企業の日本ロジステック(東京・神田)、1~2階は別の荷主企業が入居し満床での稼働となる。先行する2棟も既に満床となっておりテナントリーシングでも強さを発揮した。
屋上には6370枚の太陽光パネルと緑地帯、また全館にLED照明を設置して環境配慮を図るとともに、就労環境の快適性と利便性を高めるために高断熱材の使用や約200席のカフェテリア、220台の駐車場も完備。先行の2施設で設置・運用している最寄り駅までのバス運行、託児所、コンビニエンスストアなどと併せてアメニティーの充実を図っている。
また3棟目が完成したのを契機にレンタサイクルを導入して、カフェや食堂など共用スペースについては各棟の就労者が自由・容易に行き来できる仕組みも整えた。太陽光発電は先行2棟が自家消費と売電の併用だったが、新棟は全量を東京電力グループ向けに売電する。
BCP(事業継続計画)対策では耐震性に優れたプレキャストコンクリート造と220基を超える免震ダンパーを採用。加えて今回新たに地層科学研究所(神奈川県大和市)が提供する地震センサーを用いたクラウド型のモニタリングサービスを開始する。これまでは施設単体で震度などを計測していたが、クラウドセンサーによって複数の施設における震度を一元的に把握・管理。復旧の優先順位と初動のさらなる迅速化が見込めることから、今後は他の施設にも導入する予定だ。
「GLP流山III」外観(日本GLPウェブサイトより)
現地で記者会見した日本GLPの帖佐義之社長は「今プロジェクトは当社の知見・経験・実績を全て投入した真の意味でのフラッグシップ施設として全力を挙げて取り組み、3棟全てが完成前もしくは完成直後に満床稼働と大変満足のいく結果になった」と言及。また「これまでにないアメニティーやテナントサービス施設を備え、用途的にも生産・製造設備を導入するなど物流施設の概念を大きく超えた画期的な施策も実現。こうした姿勢がお客さまからご評価いただき本当にうれしく思う」と一大プロジェクトの軌跡を振り返った。
テナント企業の一つである日本ロジステックの黒川尚悟社長は「日本GLPさんからは早い段階で良い提案を頂き2年前に仮契約を結んだ。当社にとってこの面積はチャレンジングな規模だが、eコマースや東京オリンピック関連の荷主さんから多くの引き合いがあるのでやっていけると思う」と期待感を示した。
記念撮影に応じる黒川氏(左)と帖佐氏
(鳥羽俊一)