矢野経済研究所が市場調査結果を公表
矢野経済研究所は2月13日、国内の医薬品・医療器材物流アウトソーシングビジネス、医療器材通信販売ビジネス、中古医療機器流通ビジネスなどに関する市場調査結果を取りまとめた。
このうち医薬品・医療器材のメーカー物流アウトソーシング市場の規模は、2021年度に受託企業売上高ベースで前年度比6.4%増の1170億円に達したと推計。医薬品・医療器材などの出荷量および物流関連企業などへの委託率の増加、委託業務範囲の拡大といった傾向が21年度も継続し、当該アウトソーシングサービスの市場は堅調な推移を示しているとの見方を示した。
市場規模は2012年度比で約1.6倍に伸びているという。
2010年度以降、特に医療用医薬品などの物流管理業務に注目が集まり、本格的に請け負う関連事業者が増加。18年12月に厚生労働省が医薬品流通基準に関する日本版GDP(Good Distribution Practice)ガイドラインを発出し、医薬品の物流業務についてもGDPに基づく品質管理が求められている。GDP対応可能かどうかは、引き続き外部委託先選定の重要なポイントになっている。
さらに、製薬企業の工場から医薬品卸までにとどまらず、医療機関に届くまでの温度管理モニタリングなども問われるようになっており、物流事業者と医薬品卸の間での連携なども焦点となり、実際に両事業者におけるアライアンス事例などが増加していると分析した。
今後の展望では「物流関連企業の新規開拓先は限定される方向にある。ただし、低温度帯での管理を要求される製品が増えるなど、受託業務価値としての広がりは期待できる」との見方を示した。
矢野経済研究所は「医薬品などの物流業務周辺では、データプラットフォームを基にした詳細な流通情報を可視化させようという機運も高まっている。個社に対応した製品サプライチェーン範囲を超え、将来的には業界横断的な流通管理システムとして発展する可能性なども考えられる」と解説している。
調査要綱
1.調査期間: 2022年11月~2023年1月
2.調査対象: 物流関連企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに電話・eメールによるヒアリング調査併用
4.発刊日:2023年01月31日
(藤原秀行)※写真はプレスリリースより引用