MongTengの青果店で実施、関係者の情報共有促進し適切な調達実現狙い
NTT西日本子会社で情報システム構築などを担っているNTTビジネスソリューションズは3月3日、野菜や果物などの店舗販売を手掛けるMongTeng（千葉市、モンタン）と連携し、農産物の流通に関するフードロス削減と収益性向上を目的として、3月17日に愛知県津島市内の商業施設「ヨシヅヤ津島本店」内に開店するMongTengの青果店「Una casita ヨシヅヤ津島店」実店舗を使った青果小売事業のDX実現ソリューションの実証を始めると発表した。
農産物は天候などの影響で収穫量が大きく変動するため、需要を踏まえた計画的な生産が困難な一方、青果などの農産物は新鮮な状態で販売する必要があり、売れ残れば廃棄ロスとなって収益悪化につながってしまうことが課題。
しかし、現状の農産物流通の枠組みでは生産から小売に至るまでの過程で多岐にわたる関係者が相互に情報を十分共有できておらず、需給調整が十分に機能していないため、大量のフードロスや物流の無駄が発生、バリューチェーン全体の収益性が低下する構造となっている。
NTTビジネスソリューションズは問題解決のため、生産から小売までの全プロセスにわたる農産物流通DXを進めていくことが必要と判断。特に小売は販売データから顧客の需要を予測し、日々の農産物の収穫入荷状況を踏まえ、需要に応える農産物をできる限り安価に適切な量を調達し、最適な価格で無駄なく売り切ることで、フードロスを最小化しつつ収益を最大化するDXを実現していくことが強く求められるため、サポートに乗り出すことにした。
NTTビジネスソリューションズは農産物流通DXへの取り組みの一環として、前述のような青果小売事業の課題を解決するための「
フードリテールDXソリューション」の具体化を推進。仲卸・小売の一体経営などにより収益性を高めた先駆的な青果小売事業を進めているMongTengと共同し、新たなソリューションの導入によるフードロス削減と収益性改善効果の検証を目的とした実店舗実証に踏み切る。
新たなソリューションは各店舗にネットワーク端末を導入し、販売データをリアルタイムにクラウドへ蓄積。収集したデータを分析・可視化し、売価設定・発注・人員配置などを最適化する店舗運営DX機能（下の図中の①～④）と、本部拠点からクラウドシステムを通じてDX機能を活用し、店舗運営のリモートマネジメントを行うクラウド型店舗マネジメント機能を実現する。
実証は今年9月末まで約半年間実施。新たなソリューションの各機能をMongTengの青果小売店舗に取り入れ、実運用を通じて廃棄ロス削減、販売売上粗利拡大、店舗運営省力化に資する効果を定量的に検証、商用化に向けた機能改善を図る。
新ソリューションの構成概要
今後はMongTeng既存15店舗と新規店舗へ新たなソリューションを順次導入して実証の対象を広げ、小売事業経営における新たなソリューションのDX効果検証を拡充する予定。
NTTビジネスソリューションズはMongTengとの実証で得た知見を踏まえ、2023年度の下期をめどに、青果小売事業のDXによりフードロス削減、売上粗利拡大、少数マネジメントスタッフによる効率的な多店舗運営を後押しして事業収益拡大を支えるソリューションの商用化を目指す。
さらに、新たなソリューションにおける小売側の需要情報と、生産側の供給情報とをクラウドを介して高度に連携させていくことにより、農産物流通バリューチェーン全体のDXを図り、資源ロスをさらに減少させ、より高い収益性を実現するソリューションの開発も図る。
新たなソリューションのサービス提供イメージ（いずれもNTTビジネスソリューションズ提供）
（藤原秀行）
