【独自】出前館・藤井CEO、「ドローンのフードデリバリー」パッケージ化し展開拡大目指す

【独自】出前館・藤井CEO、「ドローンのフードデリバリー」パッケージ化し展開拡大目指す

茨城・境町でスタート、今後は宅配ロボット活用も選択肢

フードデリバリー大手の出前館は4月、茨城県境町でエアロネクストと連携し、ドローンを使った料理の宅配サービスを開始した。

町を流れる利根川など、住民や歩行者が通らない無人地帯の上空をドローンが目視外飛行する「レベル3」で実施。住民が出前館の専用アプリを使って注文した料理を、エアロネクストがACSLと共同で開発した物流専用ドローン「AirTruck(エアトラック)」に積み込み、あらかじめ設定した飛行ルートに沿って自動で飛び、受け取り場所として設定しているエリアまで届ける。当初は1日に2つの時間帯を設定、注文可能にしている。


サービスに投入しているドローン。出前館のロゴマークが付いている

出前館の藤井英雄社長CEO(最高経営責任者)は、宅配サービス開始の記念式典後、ロジビズ・オンラインなどの取材に応じた。藤井CEOは今後、あらかじめ設定した時間帯の中で住民が好きなタイミングで注文できるオンデマンド配送へ移行していきたいとの考えを表明。「これまでサービスエリアにできなかったところをエリアにできる」と期待を示し、境町でドローンによる料理宅配サービスの基本的な枠組みを固め、早期に他の自治体でも展開していくことに強い意欲をのぞかせた。

併せて、ドローンに加えて、宅配ロボットを料理の宅配に活用する可能性もあると予想。地域のニーズを考慮し、配達の手段を検討していく姿勢を見せた。


ドローン離陸のボタンを押す(左から)エアロネクスト・田路圭輔CEO、境町・橋本正裕町長、出前館・藤井CEO

将来は自転車やバイクでの配達より割安に

藤井CEOは「これまで各地でドローン配送をテストしてきた中で、最初の注文のハードルさえ下げられればニーズが見込めるということをかなり実証できている」と指摘。地元自治体と連携し、注文する住民向けに割引クーポンを提供することなどで、スマホなどのITに慣れていない住民らの背中を押せると説明した。

また、「配送は現状、人海戦術で(配達員に)自転車やバイクで運んでいただき、お1人当たり500~600円をお支払いしている。それがドローンでは機体の金額を含めても1回当たり100~200円以下になっていくことが見込める。時代が進めばコスト効率はすごく良くなると思う。出前は配送料が一番ネックなので、そこを削ることができるのは非常に大きい」と強調。ドローンの機体の改良が進むことなどで価格が下がり、運航コスト低減にもつなげられると将来の動向に期待を見せた。

一方、藤井CEOは「(今回の配送に投入している)これくらい大きなドローンは地方でお届けに使い、市街地ではドローンに加えて、自動配送ロボットの利用なども検討要素になると思う。一番ハードルが低いものをテストしながら決めていこうと思っている」と語った。


ピザをドローンに積み込む


離陸するドローン

今後の目標を尋ねられたのに対し、藤井CEOは「配達のメーンとなる時間帯は午前10時から午後8時まで。その間はオンデマンドで動かせるようにするのがまず1つの目標。これには注文数も付いてこないと、コストだけが膨れ上がってしまう可能性があるので、少しずつ進めていく形になると思う」と語った。

さらに、「ここでスタートさせたことをある程度パッケージ化して、他の地域にも展開していければよいと考えている。他地域に導入する際のスピードも上がると思う」と展望。

「自治体が入らなかったら(宅配サービスの)加盟店リストに載っている地元の名店は僕らの営業では(ドローン宅配を利用する事業者として)取れていなかったと思う。僕らでは電話しても取ってもらえない。そこは(地元の信頼を得ている)自治体さんと連携する強みがすごくあるんじゃないか」との見方を示した。

(藤原秀行)

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