【現地取材】川崎・東扇島のESR物流施設は「アメニティの塊」、国内初のボーリングレーンも

【現地取材】川崎・東扇島のESR物流施設は「アメニティの塊」、国内初のボーリングレーンも

メディア向け内覧会、高級ホテル並みラウンジなど導入

ESRは5月23日、川崎市川崎区東扇島で竣工した大規模な物流施設「ESR東扇島ディストリビューションセンター(DC)」のメディア向け内覧会を開催した。

目を引くのが、従業員向けのアメニティ設備への注力ぶりだ。ESRが物流施設開発の基本理念に掲げている「HUMAN CENTRIC DESIGN.(人を中心に考えたデザイン)」を今回の開発でも踏襲し、高級ホテルのような休憩ラウンジを計3カ所設置しているほか、国内の物流施設で初めてとみられるボーリングレーンもオープン。従業員は無料で使える。このほかに託児所やマシンジムも取り入れている。ESRは入居テナントがボーリングレーンを使って親善のイベントを行うなどの利用を見込んでいる。

物流施設で働く人材の不足が深刻化する中、魅力的な労働環境を提供することでテナント企業の労働力確保を後押ししたい考えだ。物流施設としては異例尽くしの環境で、まさに“アメニティの塊”となっている。ラウンジ内のファブリックをESRのスチュアート・ギブソン代表取締役自らがチョイスしたほどこだわっているという。


ボウリングレーン


マシンジム

ギブソン氏は近隣で稼働している別の自社開発物流施設「ESR横浜幸浦DC」よりさらに質が高いアメニティ設備になったと強調。「現時点で最高レベルの物流施設」と胸を張っている。


ラウンジで会見するギブソン氏。右はESRシニアディレクター・コンストラクションヘッドの武田諭氏

床面積当たりのコストは倉庫スペースの2倍超

「ESR東扇島DC」は、物流施設としては国内最高層の地上9階建て(倉庫部分は8層)、全高約70m、延床面積は34万9003㎡。東棟と西棟で構成される。

従業員専用のラウンジは東棟の8・9階と西棟の8階に位置している。東側のラウンジはメゾネットタイプで、8階にはボーリングレーンとフィットネス、9階は暖炉やバーカウンターを備えている。9階からは、周辺の羽田空港や東京湾などを一望するスカイデッキへつながっている。西側ラウンジは天気が良ければ富士山を望めるという。


西側のラウンジ


東側のラウンジ8階部分


8階と9階をつなぐ階段


東側のラウンジ9階部分

託児所「BARNKLÜBB(バーンクラブ)」は1階の南側に開設。園庭につながるガーデン空間や、敷地内に植えた木々や花の移ろいを楽しめる独自の公園も設けている。既に多くの物流施設で託児所を展開してきた経験を踏まえ、子供たちが飲み物をこぼしてもふき取りやすいよう短い毛足のカーペット材を採用。保育室は複数設け、異なる年齢層の子供たちが一堂に会しやすくしている。


託児所

エントランスホールでは地元産野菜やスイーツの販売、ネイルサービスなどのイベントを計画中。ESRとしては初めて、物流施設と近隣駅(JR川崎駅)を結ぶ大型バスを運行する。従業員向けにソフト面でも様々な取り組みを凝らしている。


エレベーターホールもホテルのようなデザイン


ラウンジ入口の24時間営業ショップ

ギブソン氏によると、「東扇島DC」のアメニティ設備のエリアの床面積当たり整備コストは、倉庫エリアの2倍超に達しているという。建築費用の高騰が続いている中、アメニティ設備の独自性は他者の物流施設との差別化になる一方、大幅なコスト増という負担にもつながりかねないが、ギブソン氏は「賃料を取りたいというよりも、お客様がより雇用しやすいような環境を提供することの方が重要」と語った。

(藤原秀行)

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