プロに見せたい物流拠点(特別編)オリックス・レンテック「相模原技術センター」

プロに見せたい物流拠点(特別編)オリックス・レンテック「相模原技術センター」

自動倉庫と平置き棚の「新旧組み合わせ」で保管・出荷効率化実現

未曾有の人手不足をはじめ課題山積の物流業界でピンチをチャンスに変えようと、省力化や生産性向上などに果敢に取り組む物流施設を紹介するロジビズ・オンライン独自リポート。今回は、オリックスグループでパソコンやロボットなどのレンタルを手掛けるオリックス・レンテックが神奈川県相模原市で、日本GLPが開発した大型物流施設「GLP ALFALINK相模原1」に構えている「相模原技術センター」を紹介する。

「GLP ALFALINK相模原」のプロジェクト全体が完成したのに合わせ、6月8日にメディアへ相模原技術センターの内部を公開した。自動倉庫システムと平置き棚という「新旧技術」を組み合わせ、レンタル製品の保管・出荷効率化を果たしている。


「GLP ALFALINK相模原1」(手前、日本GLP提供)


相模原技術センターのエントランス

AGV活用で歩行距離を3割短縮

相模原技術センターは今年4月、東京都町田市の「東京技術センター」からICT機器の取り扱いを移管する形で新設、稼働を開始した。今後、マイクロソフトのOS「Windows11」への入れ替えに伴う新たなパソコンのレンタル需要が増加すると見込まれるため、自動倉庫システムや自動搬送ロボット(AGV)などを活用、保管能力を従来の2倍に相当する25万台へ高めているのが特徴だ。

「GLP ALFALINK相模原1」の3階の約2万5000㎡を活用。パソコンやモニター、サーバーなどをレンタル先に出荷したり、レンタルを終えて戻ってきた機器をクリーニングしてまた使えるようにしたりするなどの作業を担っている。1日当たり4000台の出荷能力を備えている。


戻ってきたパソコンなどを検査するエリア


戻ってきた製品を受け入れるエリア


出荷前の作業を担うエリア

新たな取り組みとして、以前は自動倉庫を使ってパソコンなどを保管していたが、相模原技術センターではノルウェーのAutoStoreが手掛ける自動倉庫システム「AutoStore(オートストア)」と、平置き棚の2つの手法を組み合わせた保管・出荷スタイルに変更した。

オートストアは最大14万の製品を保管できる。前日にレンタルのオーダーが入った製品を納めているコンテナを、出荷前にあらかじめ自動的に取り出しやすい位置へ移動させ、迅速に出荷できるよう準備する。一方、平置き棚全体では11万の製品を保管することが可能だ。


オートストア


パソコンなどをすぐに取り出せるよう、箱から出して格納している

ディスプレーなどは性能向上に伴い大型化が進み、自動倉庫では取り扱いにくくなるなどの課題があったという。そこで、出荷頻度が高いパソコンなどはオートストアに保管し、出荷スピードを高める一方、ディスプレーなどの大型機器や小型のメモリーなど自動倉庫に向かないものは平置き棚に集約し、作業スタッフがピッキングしやすいよう配置している。オートストアで保管スペースを効率的に使うことにより、延床面積は以前のセンターと同規模ながら、保管・出荷能力の向上を実現した。

さらに、平置き棚からのピッキング作業を効率化するため、新しくWCS(倉庫制御システム)を導入。作業スタッフが使っているハンディターミナルで最短ルートを指示するようにし、歩行距離の短縮を図っている。

加えて、製品搬送の工程にトヨタL&F製のAGV「キーカート」を採用、省力化を進めている。その効果で作業スタッフ1人の1日当たり平均歩行距離を3割程度短縮できているという。


平置き棚で保管しているエリア。整然としている


出荷エリア


フロアを移動するAGV

このほか、以前の拠点は複数のフロアに分かれていたため縦方向の移動が発生していたが、相模原技術センターは広大なワンフロアを賃借できているため、作業の効率化につながっているという。


出荷エリアのカーテンは密閉性を高め、防虫や防塵などを図っている


会議スペースを設置


壁には来訪者へ業務を分かりやすく説明する独自の表示を掲載

(藤原秀行)

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