元国交次官の人事介入問題発覚後、初の総会で波乱
空港施設は6月29日、東京都内の本社で定時株主総会を開催した。この中で、会社側が提案した、日本航空(JAL)出身の乘田俊明社長を取締役に再任する案が反対多数で否決された。他の取締役候補8人はいずれも承認された。
空港施設は総会終了後、取締役会を開催し、新たな社長に田村滋朗取締役常務執行役員を選出、同日付で就任した。同社としては初のプロパー出身社長という。
空港施設をめぐっては、元国土交通事務次官の本田勝氏が昨年12月、国交省元東京航空局長の山口勝弘副社長(当時、4月に辞任)を次の社長にするよう人事に介入していたことが発覚。
空港施設が設置した独立検証委員会の調査で、山口氏が取締役から副社長に昇格した2021年の幹部人事でも、取締役候補者の選任過程で山口氏が国交省の存在をちらつかせながら副社長に昇格させるよう自薦するなど不透明な点が明らかになった。
企業統治改善のため、新たな取締役候補からは国交省出身者がいなくなっていた。空港施設としては人事介入の問題が判明して以降、初めての定時株主総会だった。
空港施設は1970年発足。東京証券取引所プライム市場に上場し、羽田空港をはじめとする国内主要空港の設備運営を手掛けている。JALとANAホールディングス(HD)がそれぞれ約21%、日本政策投資銀行が約14%を出資している。
田村 滋朗氏(たむら・しげお)1987年空港施設入社、2016年執行役員、取締役上席執行役員などを経て22年6月より現職。63歳。
(藤原秀行)