迅速かつ柔軟に合意形成可能な「ソフトロー」として国際秩序形成に期待
三菱総合研究所は7月3日、オランダの国際シンクタンクThe Hague Institute for Global Justice(ザ・ハーグ・インスティテュート・フォー・グローバル・ジャスティス、Hague Institute)が取りまとめた「商業宇宙活動の行動規範に関する原則」(ワシントン・コンパクト)の主旨に賛同し、署名したと発表した。
三菱総研は同原則に基づき、今後の民間を含めた宇宙活動の持続性確保に向けた活動に取り組む。
三菱総研は安全で持続可能な宇宙空間を実現するためのガバナンスの在り方について研究・提言活動を進めている。特に近年、民間宇宙事業増加による宇宙空間の混雑化、対衛星兵器(ASAT)などの安全保障課題、月開発における民間活動の安全確保の課題など、宇宙活動の変化やプレーヤー増加に伴う新たなリスクが急速に顕在化しつつあり、迅速かつ柔軟に合意形成し得る「ソフトロー」による国際秩序形成が期待されている。
Hague Instituteが2022年7月に制定した「商業宇宙活動の行動規範に関する原則」はソフトローとして意義が認められるものであり、三菱総研としても内容に賛同、署名することを決めた。
「商業宇宙活動の行動規範に関する原則」(英語正式名称:“The Washington Compact on Norms of Behavior for Commercial Space Operations”)は、民間による宇宙活動の持続性確保のために必要と考えられる最低限の原則を、Hague Instituteが各国の産官学の宇宙関係者と議論した上で取りまとめた。
各国の産官学の宇宙関係者から同原則への署名・賛同を得ることで、ソフトローとして機能することを目指している。全会一致での合意が必要で現実的に困難とされる国連での新たな条約制定がなくても、持続可能性や安全確保という共通目的のために必要な行動がボトムアップで取られるようになり、グローバル・スタンダードとして定着することも期待されるという。
「商業宇宙活動の行動規範に関する原則」(ワシントン・コンパクト)の構成
出所:ワシントン・コンパクトに基づき三菱総合研究所作成
三菱総研は同原則に基づき、Hague Instituteおよび国内外の産官学の宇宙分野関係者と連携し、民間を含めた持続可能な宇宙活動のガバナンス枠組み構築に関する活動に引き続き取り組む。
(藤原秀行)